1996 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマ処理による鉄シリサイドの熱電変換性能向上とミクロ構造との関係
Project/Area Number |
07680534
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
三木 俊克 山口大学, 工学部, 教授 (70091212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 卓也 山口大学, 工学部, 助手 (70263796)
岸本 堅剛 山口大学, 工学部, 助手 (50234216)
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Keywords | 熱電変換材料 / 微細構造 / プラズマ処理 / 粒界 |
Research Abstract |
熱電変換材料の熱電性能は,性能指数Z=S^2σ/κで決まる.ここで,Sはゼ-ベック係数,σは電気伝導度,κは熱伝導度である.熱電材料の性能を向上させるには,上記の3つの因子を制御することが必要になる.この研究では,プラズマ処理によって鉄シリサイド(FeSi_2)などの熱電材料の微細構造制御によって,熱電性能の向上を目指すことを目的とした. 実験では,焼結前の原料微粒子を,シランまたはゲルマンガスの高周波放電によって生じるプラズマに曝すことによって,粒子表面にシリコンあるいはゲルマニウムの薄いコーティング層を作成した.この粉体を焼結すると,シリコンあるいはゲルマニウムを高濃度に含む粒界層が形成され,電気伝導度や熱伝導度を改善することができる.以下に,主な結果を示す. (1)従来の方法で作成したセラミックスで生じていた粒界準位は,プラズマ処理によって減少あるいは消滅することがESR測定などによって明らかになった. (2)粒界準位の密度の減少によって,電気伝導度が上昇する.この上昇は,主としてキャリヤ移動度の上昇によることがホール移動度測定から明らかになった. (3)シランプラズマ処理では,熱伝導度の改善効果はほとんど認められなかった.しかし,ゲルマンプラズマ処理では熱伝導度の改善が確認された. (4)ゼ-ベック係数に対するプラズマ処理効果は,かなり複雑であるが,全体としてはゼ-ベック係数が上昇するように作用することがわかった. (5)こうした効果は,FeSi_2だけでなくSi-Geでも確認された.プラズマ処理による性能指数の向上は,今回の実験範囲では2〜3倍どまりであったが,プラズマ処理条件の最適化によってさらに向上できる可能性がある.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 岸本堅剛,他2名: "プラズマプロセス技術による熱電変換材料の微細構造制御" 材料科学. 33巻. 54-60 (1996)
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[Publications] S.Jida and T.Miki: "Electron paramagnetic resonance of Nb-doped BaTiO_3 ceramics with positive temperture coeeficient of resistivity" Journal of Applied Physics. Vol.80. 5234-5239 (1996)