1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07680556
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
門谷 茂 香川大学, 農学部, 教授 (30136288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 邦尚 香川大学, 農学部, 講師 (80207042)
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Keywords | 夜光虫 / 物質循環 / 栄養塩類 / 沿岸海域 |
Research Abstract |
瀬戸内海においては年間100件近くの赤潮が発生しており、頻繁に漁業被害を引き起こすなど、社会問題となっている。しかしながら、夜光虫による赤潮は漁業被害が少ないため、これまでほとんど研究の対象とされていなかった。沿岸海域では、夜光虫は通年見ることができ、その細胞サイズも他の赤潮プランクトンに比べて、極めて大きいため生物量としては無視しえない量が存在している。この夜光虫が沿岸海域の物質循環過程に、はたしている役割を定量的に評価することを、本研究の中心的な目的としている。 今年度は、1995年3月から1996年2月まで、瀬戸内海の播磨灘において、ほぼ月一回定点観測を行い、夜光虫の細胞数・細胞直径および有機態炭素含有量を測定した。さらに、広島湾等でも1995年5・10月および1996年1月に夜光虫などを採取し、同様の測定を行った。 その結果、夜光虫の細胞数は表層付近では、初春から初夏にかけて多くなる傾向が見られたが、初秋には減少していた。また、細胞直径については2〜3月の冬期に大きくなる傾向が見られ、炭素含有量は年間を通して大きな変動は認められず、両者の変化は環境要因によるものであると考えられた。さらに、夜光虫と植物プランクトンの生物量を炭素量に換算して比較しても、夜光虫の相対的な割合は大きく、一時的には植物プランクトンの生物量より大きくなっていた。植物プランクトンだけでは、夜光虫の現存量を維持することは不可能であると考えられ、デトリタスなどの粒子状有機物も捕食しているのではないかと考えられる。このように、夜光虫の現存量には季節変動がみられ、かつ沿岸海域の生態系および物質循環過程に及ぼす影響は大きいことが明らかとなった。
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