1996 Fiscal Year Annual Research Report
ダム湖における春の環境条件に基づく夏のクロロフィルa濃度の経年的変動の予測
Project/Area Number |
07680557
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
香川 尚徳 愛媛大学, 農学部, 教授 (40003777)
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Keywords | ダム湖 / クロロフィルa / 経年的変動 / 予測 / Mg / K比 |
Research Abstract |
筆者は愛媛県下の石手川ダム湖において1983年以降毎月一度水質調査を行い、ダム湖の7月から9月までの表層水のクロロフィルa濃度の平均(Cs:μg/l)が5月の表層水の電気伝導度(E_5:mS/cm at 25℃)と5月の平均気温(T_5:℃)の重回帰式で予測されうることを認めた。本研究はこの知見を発展させること、特に、E_5が代表する物質を特定することを目標として行われ、次の成果が得られた。 1.Cs5月のクロロフィルa濃度(Chl-a_5)とが高い正の相関を示すことを考慮して、各種水質構成因子の中でChl-a_5とE_5の両方と正の相関を示す因子を求め、Mg/K比を見出した。但し、Kについては湖水中で常時低濃度なので、藻類量の指標としてのChl-a_5が増大すると、藻類に吸収されて、結果としてchl-a_5と負の関係をもつとみられた。 緑藻のChlorella vulgarisをN,P,K一定の条件下で室内で培養したところ、湖水で観測されるMg濃度で、Mgの増大に伴ってChlorellaの増殖が促進された。すなわち、Mg/K比のMg部分に藻類の増殖に対する正の効果が認められた。 3.5月のMg/K比(Mg/K)_5を用いてCsを予測する回帰式を求めたところ、全変動の77%を説明する、次の式が得られた。 logCs=0.578(Mg/K)_5-0.44 logCsについて実測値から予測値を減じた残差については、夏の湖水中の全鉄濃度や亜硝酸態窒素濃度と負の相関をもつことがみとめられたが、数式中に補正項として加えることは出来なかった。なお、還元発達と関連して藻類増殖に負の効果を示す物質の実態解明が今後の重要な課題と考えられる。
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