1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07680565
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
蟻川 芳子 日本女子大学, 理学部, 教授 (00060666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今泉 幸子 日本女子大学, 理学部, 助手 (10247091)
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Keywords | 硫黄同位体比 / 石炭硫黄 / 石油硫黄 / 海水硫酸塩硫黄 / 動態解析 / 浮遊粒子状物質 / 自然発生源 / 人為発生源 |
Research Abstract |
酸性雨発生の主因となる大気中硫黄の主な人為発生源は、石炭・石油などの化石燃料と考えられる。環境大気中の硫黄化合物が果たして化石燃料に由来するものか、海水硫酸塩を主とする自然発生源に由来するものか、これら硫黄化合物の環境における動態を解析する手段として同位体比測定を考えてきた。今年度はその基礎として、産地に異にする世界各国の石灰と石油の硫黄同位体比の測定を行い、その時徴を明らかにした。石炭については21試料のδ^<34>S‰値は-2.4〜+24.9‰、20試料の石油については-10.7〜+20.2‰であったが、平均値はともに海水硫酸塩の20.2‰より小さかった。特に石油については、マイナスのδ^<34>S‰値を示すものが多く見られた。石炭の平均は、およそ10‰であった。環境大気中では、種々の発生源に由来する硫黄が混じっていると考えられるので、環境試料の同位体比測定から発生源を特定するのは難しいが、おおよその推定は可能と思われる。そこで、東京都文京区と新潟市の大気および浮遊粒子状物質をエアサンプラーを用いて夏期と冬期に50日ずつ捕集し、これらの試料中の硫黄同位体比の測定を行った。その結果、浮遊粒子状物質については両地域とも季節による変動はみられなかったが、新潟市のほうが若干大きなδ^<34>S‰値を示した。東京で3.7、新潟で4.7‰で、いずれも化石燃料の影響が大きいことが実証された。さらに大気については-1.0‰とさらに小さい値を示すのはほとんどが石油由来のものであり、浮遊粒子状物質には石炭から発生するフライアッシュの寄与が反映されていることが推測された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] K. Asahara, Y. Arikawa: "A Nickel Oxide Amperometric Detector in HPLC Separation of Thiol Compounds" Journal of Japan Womens Univ. Fac. Sci.3. 45-50 (1995)
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[Publications] 蟻川芳子・小沼憲子: "ヨウ素錯体生成に基づくホルムアルデヒドの高感度紫外吸光光度定量" 日本女子大学紀要 理学部. 3. 51-54 (1995)
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[Publications] I. Kubo, Y. ARIKAWA: "A Biosensor Based on Thiobacillus Thioparus for Measurement of Thiosulfate and Methanethiol" Can. J. Microbiol.41. 366-371 (1995)
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[Publications] 今泉幸子・蟻川芳子: "高圧酸素燃焼法による環境試料中ヒ素の水素化物発生原子吸光分析" 分析化学. 44. 101-105 (1995)
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[Publications] I. Karube, Y. Arikawa: "Biosensors for Environmental Control" Trends in Anal. Chem.14. 295-299 (1995)
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[Publications] Ikebukuro, Y. Arikawa: "Microbial Toxin Sensor System Using Bioluminescence" Denki Kagaku. 63. 1134-1137 (1995)
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[Publications] 蟻川芳子・桐村光太郎: "映画の中の化学" 丸善, 180 (1995)