1996 Fiscal Year Annual Research Report
センス及びアンチセンスgadd45遺伝子導入細胞による細胞周期監視機構の解析
Project/Area Number |
07680585
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
児玉 靖司 長崎大学, 薬学部, 助教授 (00195744)
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Keywords | gadd45 / 細胞周期チェックポイント / ataxoa telangiectasia / 放射線高感受性 |
Research Abstract |
gadd45遺伝子は、遺伝子損傷によって発現が誘導される遺伝子群の一つである。その機能として、p53遺伝子細胞周期チェックポイント機構への関与が示唆されているが、詳細は不明である。そこで本研究は、ヒトgadd45遺伝子のcDNAを、誘導剤による発現誘導が可能なベクターに組み込んでこれを細胞に導入し、その遺伝子発現を変化させることによって生じる細胞表現型への影響を調べた。放射線高感受性遺伝病ataxia telangiectasia(AT)細胞では、p53依存的細胞周期チェックポイント機構に異常があり、放射線照射後のp53タンパク質の蓄積が遅延することが知られている。そこで、AT細胞における放射線照射後のgadd45遺伝子産物(GADD45)の発現状態を調べたところ、発現レベルの低下、あるいは発現時間の遅延が見られることが分かった。そこで、このGADD45発現異常を相補する目的で、センスgadd45cDNAをAT細胞に導入し、誘導剤によりGADD45の過剰発現が誘導可能な細胞を分離した。この細胞を用いて、まず細胞増殖に対するGADD45発現の影響を調べたところ、GADD45の過剰発現により、コロニー形成率が40%減少し、また、増殖遅延現象がみられることが分かった。このことは、GADD45が細胞増殖抑制因子として機能していることを示している。しかしながら、GADD45の過剰発現は、細胞周期分布をほとんど変化させなかった。すなわち、GADD45による顕著なG_1、あるいはG_2停止現象はみられなかった。また、AT細胞の放射線感受性は、GADD45過剰発現の影響を受けなかった。以上の結果は、AT細胞にみられるチェックポイント異常、および放射線高感受性といった形質が、GADD45の発現低下、あるいは遅延現象だけでは説明できないことを示している。
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