1996 Fiscal Year Annual Research Report
メチル水銀の生体内無機化に及ぼす加齢、性、食物の影響に関する研究
Project/Area Number |
07680587
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Research Institution | Kumamoto University, College of Medical Science |
Principal Investigator |
平山 紀美子 熊本大学, 医療技術短期大学部, 教授 (70040235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安武 章 国立水俣病総合研究センター, 基礎部生化学室, 室長
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Keywords | メチル水銀 / 無機化反応 / ミトコンドリア / 活性酸素 / 肝切片 / ラット / 食物成分 / 電子伝達系 |
Research Abstract |
1.メチル水銀の無機化反応に関与する活性酸素種の検索及び無機化反応の細胞内局在の検討 メチル水銀を投与したラット肝切片を培養して、メチル水銀の無機化反応をモニターした。培養4時間後に顕著な無機水銀の生成が認められるが、その生成速度はスパーオキシド産生剤であるパラコート添加で促進されたが、鉄イオンによる促進や、・OHスカベンジャーや鉄イオンキレート剤による抑制は観察されなかった。この結果からは、これまでマイクロソーム標品を用いた実験で観察されている無機化への・OHの関与を証拠付けることはできなかった。そこで、生体内の活性酸素産生に寄与の大きいミトコンドリアの関与を考え、その電子伝達系の阻害剤であるロテノン、アンチマイシイA、CNイオンなどを用いて無機化と脂質過酸化反応の関係を検討した。その結果、ミトコンドリア内膜が主要な無機化反応の部位であることが示唆された。さらに、メチル水銀を投与したラット肝を細胞分画し、各分画における無機水銀の存在比を検討したところ、ミトコンドリアにおいて高い比率が観察された。ミトコンドリアの亜分画の結果は、ミトコンドリア内膜ではさらに高い比率が観察された。以上の結果から、活性酸素種の特定はにはいたらなかったが、メチル水銀の無機化反応は主にミトコンドリアの内膜に局在しており、そこで産生される活性酵素が関与している可能性が示唆された。 2.食物成分によるメチル水銀の無機化の相違の検討. ラットを用いて、低蛋白食、高蛋白食給餌の影響のメチル水銀の無機化反応に与える影響を検討したが、顕著な影響は観察されなかった。
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