1995 Fiscal Year Annual Research Report
γ-ポリグルタミン酸の凝集特性および微生物凝集剤としての利用に関する研究
Project/Area Number |
07680613
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
横井 春比古 宮崎大学, 工学部, 助教授 (00253815)
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Keywords | γ-ポリグルタミン酸 / 凝集特性 / 微生物凝集剤 |
Research Abstract |
γ-ポリグルタミン酸(γ-PGA)を生分解性で安全な新規の凝集剤として適用することを目的として、γ-PGA生産菌であるBacillus subtilisを用いてγ-PGAを調製し、その凝集特性,凝集機構および各種懸濁液での凝集反応適用性等について基礎的検討を行うと共に、微生物凝集剤としての評価検討を行った。 その結果、本菌株の培養液自体に凝集能力が有り、その培養液の上澄から得られるγ-PGAには高い凝集活性がみられた。カオリン懸濁液でのγ-PGAの凝集活性は、懸濁液中にCa^<2+>,Mg^<2+>またはFe^<2+>等の金属イオンを添加すると促進され、その活性にはγ-PGA濃度と金属イオン濃度での最適な組み合わせが存在した。また、Fe^<3+>またはAl^<3+>を含有するカオリン懸濁液のpHを中性域に調整するとγ-PGAの高い凝集活性が得られた。γ-PGAは、カオリン以外に活性炭,酸性白土,土壌,カルシウム化合物およびマグネシウム化合物のような各種無機懸濁液に対して凝集作用を示した。さらに、セルロースや酵母等の有機懸濁液においても、Fe^<2+>,Fe^<3+>またはAl^<3+>を添加して懸濁液のpHを中性域に調製すると、γ-PGAは優れた凝集作用を示した。γ-PGAの凝集作用にはポリマー中のカルボキシル基が重要な働きをもち、懸濁粒子とγ-PGAが懸濁液中の金属イオンやその水酸化物等とのイオン結合や橋架け作用で結合してフロックを形成し凝集が促進するものと推定された。γ-PGAは種々の懸濁物質に対して優れた凝集作用を示すことから、生分解性で人体に対して安全な新しい凝集性バイオポリマーとして、廃水処理分野以外に発酵工業のダウンストリームや食品工業および上水道プロセス等への利用が可能であり、今後、実廃水や各種分離工程での応用化研究が期待される。
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