1995 Fiscal Year Annual Research Report
植物によるムギネ酸類-鉄錯体の特異的認識機構に関する研究
Project/Area Number |
07680642
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Suntory Institute for Bioorganic Research |
Principal Investigator |
野本 享資 (財)サントリー生有研, その他部局等, 部長研究員 (60142080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬 建鋒 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (80260389)
岩下 孝 (財)サントリー生有研, その他部局等, 主任研究員 (00150144)
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Keywords | ムギネ酸類 / 植物鉄輸送体 / キレート化合物 |
Research Abstract |
本年度はモデル化合物として末端のアルコール性水酸基の欠落した化合物、すなわち以下に示す化合物の合成に成功した。 1)3′(S)-N-[3-carboxy-(3-carboxypropylamino)propyl]glycine(1)の合成 ムギネ酸は、アミノ酸ユニットがN-アルキル結合で連結した特異な構造のアミノ酸である。1はN-C間での結合を切断すると、4-ヒドロキシ酪酸、L-ホモセリンとグリシンに分割される。従って、それぞれ等価なγ-ブチロラクトン(3)、L-ホモセリンラクトン(4)とグリシン(5)を用いて、順次N-C間で結合させることにより、目的とする1の合成が可能である。そこで、γ-プチロラクトン(3)を水酸化カリウムで処理し、4-ヒドロキシ酪酸のカリウム塩(6)とし、続いてベンジルブロミドを作用させベンジルエステル体(7)へと導いた。7はピリジニウムクロロクロメイトで酸化することにより、アルデヒド体(8)を得た。8と4のトリフロロ酢酸塩との縮合で得られるシッフ塩基を中性条件下、水素化シアノホウ素ナトリウムを用いて、N-アルキル化体(9)へ変換し、アミノ基はBoc基で保護し、水酸化カリウムで9のカリウム塩とし、続いてベンジルブロミドを作用させベンジルエステル体(10)へ導いた。10はピリジニウムクロロクロメイトで酸化することにより、アルデヒド体(11)とし、11は5のp-トルエンスルホン酸塩との縮合で得られるシッフ塩基を水素化シアノホウ素ナトリウムを用いて、N-アルキル化体(12)へ変換した。12を接触還元およびトリフロロ酢酸にて保護基を順次除去し、ダウエックス50W(H^+)、セファデックスG-10を用いるカラムクロマトグラフィーにて脱塩、精製を行い、1を得た。 2)2(S),3′(S)-N-[3-carboxy-(3-carboxypropylamino)propyl]homoserine(2)の合成 2は1の合成中で得られるアルデヒド体(11)と4を用いて、N-C間で結合させることより、目的とする2の合成が可能である。そこで、アルデヒド体(11)と4のトリフロロ酢酸塩との縮合で得られるシッフ塩基を水素化シアノホウ素ナトリウムを用いて、N-アルキル化体(13)へ変換した。13を接触還元およびトリフロロ酢酸にて保護基を順次除去し、最後に水酸化カリウムで開環し、ダウエックス50W(H^+)、セファデックスG-10を用いるカラムクロマトグラフィーにて脱塩、精製を行い、2を得た。
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[Publications] 馬建鋒・野本享資: "植物における鉄輸送体" 季刊化学総説・生物無機化学の新展開. 24. 190-201 (1995)
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[Publications] J. F. Ma, T. Shinada, C. Matsuda, and K. Nomoto: "Biosynthesis of Phytosiderophores, Mnginei Acids, Associated with Methionine Cycling" The Journal of Biological Chemistry. 270. 16549-16554 (1995)