1995 Fiscal Year Annual Research Report
N-グリコリルノイラミン酸を含む複合糖質の機能に関する研究
Project/Area Number |
07680649
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小堤 保則 京都大学, 薬学部, 助教授 (70205425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川嵜 敏祐 京都大学, 薬学部, 教授 (50025706)
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Keywords | N-グリコリルノイラミン酸 / N-アセチルノイラミン酸 / ガングリオシド / 3T3 |
Research Abstract |
シアル酸を有する糖脂質であるガングリオシドは細胞の分化や神経突起の伸長、さらに増殖因子の刺激応答に対する調節など、生体内で種々の役割を演じていることが明らかにされている。これらの作用にはシアル酸が深く関与していることが知られているもののシアル酸の分子種の違いによる調節についてはあまり明らかにされていない。 シアル酸の分子種の違いによる機能調節を探るために、本年度はマウス由来の3T3細胞を取りあげた。3T3細胞はFGFやEGFの刺激に対して応答することが知られており、これらの刺激応答の調節に細胞内のガングリオシドが関与していると言われている。そこで、NeuGcの合成を行うCMP-N-アセチルノイラミン酸(MeuAc)水酸化酵素を人為的に発現させることによって、ガングリオシドのシアル酸分子種をNeuAcからNeuGcに変換させた場合の増殖因子に対する刺激応答の変化について検討を加えた。既にマウス肝臓よりクローニングした水酸化酵素のcDNAを、高発現が期待できる哺乳動物発現ベクターに組込み、これを用いて3T3細胞を形質転換させた。次に、形質転換細胞を5個クローニングし細胞内のNeuGc量を測定した。親株は、培地に牛血清(全シアル酸中のMeuGc比約50%)を含む3T3基本培地では、細胞内NeuGc比は約30%、ウシ胎児血清(NeuGc比3%)を含む培地では約3%、さらに、NeuGcをほとんど含まない合成培地では約1%であった。これらの事実は、3T3細胞中のNeuGcはほとんど培地に依存していると考えられた。これに対し、形質転換株のうち2つは、いずれの場合での有意にNeuGc比が増加し、最も低い合成培地の場合でも約80%存在していた。次年度は、これらの細胞を用いて増殖因子の刺激に対しての応答違いについて検討する予定である。
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