1995 Fiscal Year Annual Research Report
生体膜中におけるαヘリックスの相互認識-膜蛋白質構築原理の研究
Project/Area Number |
07680718
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 敞 京都大学, 化学研究所, 教授 (20022593)
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Keywords | バクテリオロドプシン / α-ヘリックス / 合成ペプチド / リン脂質膜 / 二次構造 / 三次構造 |
Research Abstract |
バクテリオロドプシンは好塩菌の外膜に紫膜の形で存在する膜蛋白質であって、光エネルギーを吸収してプロトンポンプとして働く.この蛋白質のポリペプチド鎖は膜内を貫通する7本のアルファヘリクス(A、B、・・、G)と、それらをつなぐループの部分からなっている.7本のアルファヘリックスはある特有な形で会合し、これらでできる特異的な空間にレチナ-ルが包み込まれていて、バクテリオロドプシン独特の吸収を示す.蛋白質三次構造は二次構造間の特異的な相互作用の結果生ずるが、最も単純かつ規則的な二次構造であるアルファヘリックス同士の会合様式を明らかにすることは蛋白質三次構造形成の原理を推察するのに最も有効であると考え、バクテリオロドプシンの7本アルファヘリックスの会合体形成をそのモデルとして実験を行った.天然バクテリオロドプシン同様の構造ができればレチナ-ルを取り込み、バクテリオロドプシンと同一の吸収スペクトルを示すはずで、このことを目安として構造形成を評価することができる.本年度はバクテリオドロプシン紫膜を単離精製し、キモトリプシンまたはV-8プロテアーゼ処理によってヘリックスC〜G部分(72番残基から248番まで)と、ヘリックスA〜E部分(1番残基から166番まで)の2種の部分ポリペプチドを得た.一方、固相法によってヘリックスA、B、F、Gに相当する4種のペプチド(それぞれ25、25、38、36残基)を化学合成し、それぞれを精製後、ペプチドA、BとヘリックスC〜G、およびヘリックスA〜EとペプチドF、Gとからの再構成実験を試みた.550nmにおける特有のレチナ-ル吸収の測定から、いずれの場合も10〜20%の収率でバクテリオロドプシンの構造ができていることが明らかになった.このことから、ヘリックスA、B、F、Gが他のヘリックスと会合するためにはそれらをつなぐループ部分は必要ないことが明らかになった.すなわちこの蛋白質は1本のポリペプチド鎖である必要はなく、ばらばらのヘリックスからでも構造ができる.
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