1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07680741
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中津 可道 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (00207820)
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Keywords | DNA修復 / XPA / 突然変異 / トランスジェニックマウス / 紫外線 / 発がん / rpsL |
Research Abstract |
1)正常マウスとXPAマウスの自然突然変異頻度:DNA除去修復欠損の体細胞自然突然変異への影響を調べる為、HITECマウスを用いて主要組織の突然変異出現頻度を調べた。脳、肝臓で最も高く(3〜4×10-4)、腎臓、精巣、皮膚では中程度(1〜2×10-4)、脾臓では最も低い(1〜3×10-5)という結果を得た。しかし、正常・XPAマウス間で顕著な差はなかった。 2)UV誘発突然変異と発癌:2000J/m2のUV線量を週3回照射することにより、20週からXPAマウスのみに皮膚癌が観察された。PCR・Direct Sequence法でp53遺伝子を調べた結果、40例中19例の皮膚癌に突然変異を認めた。これらの突然変異は1例を除いて全てピリミジン・ランに生じており、UV誘発変異と考えられる。突然変異部位のホットスポットは見られず、突然変異の約7割は転写鎖上のUV損傷に起因すると考えられた。これらのことは、XPA遺伝子欠損マウスのUV誘発突然変異は頻度ばかりでなく質的にも野生型マウスとは異なることを示唆する。一方、同じ処理を2、4、8週間施したHITECマウスを用いて突然変異出現頻度を調べたところ、UV照射による上昇は観察されたが、全ての遺伝子型(XPA+/+,XPA+/-,XPA-/-)で同程度にみられ、UV発癌実験の結果とは一致しなかった。独立した実験間で得られる数値の変動が大きく、この系を用いてUVによる誘発突然変異頻度の解析を行うのは困難であると考えられた。 3)XPAマウスにおける神経細胞死の有無:正常マウスとXPAマウスから脳の切片を作成し、抗p53抗体(CM-5)を用いて免疫染色を行った。小脳のPurkinje細胞の核以外、神経細胞には顕著な染色は見られなかった。Purkinje細胞核の染色は正常マウスでも観察された。更に、Tunel法を用いてアポトーシスの有無を調べたが、XPAマウスの中枢神経系神経細胞でアポトーシスが起きているという証拠は得られなかった。
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[Publications] 中津 可道: "ヌクレオチド除去修復に関与する蛋白質群" 実験医学. 14・11. 1559-1564 (1996)
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[Publications] Enokido,Y.,et al.: "The Loss of the Xeroderma Pigmentosum Group A(XPA)Gene Enhances Apoptosis of Cultured cerebellar Neurons Induced by UV but not by LOW-K^+ medium." Journal of Neurochemistry. (in press).
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[Publications] 中津 可道: "「DNA複製・修復と発癌」(松影昭夫編)除去修復機構とその欠損症" 羊土社 New メディカルサイエンス, 172 (1996)