1995 Fiscal Year Annual Research Report
リボソーム蛋白種の集大成に基づく真核細胞構築過程の蛋白進化学的解析
Project/Area Number |
07680742
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
橋本 哲男 統計数理研究所, 統計教育・情報センター, 助教授 (50208451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水田 啓子 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (40166012)
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Keywords | リボソーム蛋白質 / 分子進化 / アライメント / 分子系統樹 / 下等真核生物 |
Research Abstract |
集大成、コンパイル:データスクリーニング、コンパイル、アライメント更新を継続して行なった結果、三大生物群に共通に存在する蛋白種が33種、真核生物と古細菌、真核生物と真正細菌のそれぞれに共通に存在する蛋白種が18種および1種、真核生物、古細菌、真正細菌、葉緑体、ミトコンドリアそれぞれに特異的な蛋白種が、28種、2種、21種、4種、および20種存在することが明らかとなった。ほとんど全てのアライメントは、分子のN端からC端に向けての一対一対応のパターンを示した。三大生物群それぞれの内部では、N端以外では、少数残基の挿入・欠失がみられる程度であり、アライメントに瞹昧さを伴なうことはほとんどなかったが、生物群同士とりわけ真正細菌と古細菌・真核生物とのアライメントでは、多くの場合かなり大きな挿入・欠失を導入する必要があった。また、一部のミトコンドリアリボソーム蛋白質に関しては、相同であることは特定できても他配列とのアライメント自体が不可能であるぐらいに変化しているものが見受けられた。これら全てのアライメントは、近日中にインターネット上に公開する予定である。 蛋白進化学的解析:解析可能なすべての蛋白種について分子系統学的解析を行なったが、個々の蛋白種で解析に用いることができる座位数が少なすぎるため、多くの場合個々の蛋白種での明確な結論は得られなかった。しかしながら総合評価を行なうと、古細菌が単系統群を成しているとの可能性が低いことなどの重要な知見が得られた。ただし、古細菌と真正細菌および高等真核生物との進化的距離があまりにもかけ離れているため、この問題は、より多くのデータの蓄積を待って慎重に再検討する必要がある。とくに本研究で取り扱う下等真核生物のデータは、古細菌の進化的位置づけを明確にするために非常に重要である。 培養、核酸の抽出、遺伝子の単離と配列決定:ランブル鞭毛虫、トリコモナスともに培養条件の検討を行ない、遺伝子解析に必要な量の核酸を抽出することができた。大腸菌L7/L12、L10相当蛋白種それぞれのアライメントで、高度に保存されている領域2箇所に対して設計したプライマーを用い、ランブル鞭毛虫のmRNA : cDNA duplexを鋳型とし、PCR法により部分遺伝子断片を増幅した。現在、これら断片の配列解析を行なっている。
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[Publications] Mizuta,K.,Hashimoto,T.and Otaka,E.: "The evolutionary relationships between homologs of ribosomal YL8 protein and YL8-like proteins." Current Genetics. 28. 19-25 (1995)