1996 Fiscal Year Annual Research Report
DNA構造特異的結合因子Orpheus/SSRP1による転写抑制機構の解析
Project/Area Number |
07680747
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Research Institution | Keio University School of Medicine |
Principal Investigator |
今井 眞一郎 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20255433)
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Keywords | DNA構造 / SSRP1 / 転写抑制 / HMG box / 細胞老化 / 不死化 / Oct-1 |
Research Abstract |
collagenase遺伝子上流のISE(immortalization-susceptible element)2についてchemical footprint analysisを行った結果、ISE2の中に2ケ所のfootprintが認められることが明らかとなった。一つはOct-1であることが明らかになったOrpheusの結合部位である。もう一つはOrpheus/Ost-1結合配列の5′側に隣接した領域で、センス鎖ではGAAATTGが、またアンチセンス鎖ではCAATTの部分が弱くプロテクトされる。このfootprintが認められた配列を中心に2bpの置換変異を導入したところ、最も5′側のGAを変異させると約3.5倍の転写活性の上昇が認められた。この結果は、少なくともOct-1とはまた別の因子が、Oct-1結合部位のすぐ5′側に結合して転写抑制に寄与していることを示している。このfootprintの配列は、HMGボックスが認識するモチーフとしてあげられているYYATTGAAまたはYYTTGAAに極めてよく似ている。SSRP1はHMGボックスを持ち、ISE2に特異的に結合し、Oct-1結合部位に依存した転写抑制能を示す。そこで、SSRP1が目的の因子である可能性を検討するために、レコンビナント蛋白を合成してISE2に対する結合性を調べてみた。ところが、サウスウェスタン・ブロットでは結合が検出できるのにもかかわらず、EMSAでは条件をふっても全く結合を検出することができなかった。この理由は明らかでないが、SSRP1が分子内にDNA結合を抑制するドメインをもっている可能性も考えられ、他の因子、たとえばOct-1と相互作用しているときのみDNAに結合できるようになることも考えられる。一方でOct-1が転写抑制性の核内構造体を形成しているらしいことが明らかになっており、SSRP1はそのような構造体との相互作用を通してのみ機能していることも考えられる。SSRP1の細胞老化・不死化過程に依存した転写抑制能を解析するために、以上のような可能性を今後の研究において検討する必要がある。
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[Publications] J.Liu et al.: "Calcineurin-dependent nuclear translocation of a murine transcription factor NFATx : molecular cloning and functional characterization" Molecular Biology of the Cell. 8. 157-170 (1997)
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[Publications] M.Shibanuma et al.: "Induction of senescence-like phenotypes by forced expression of hic-5,which encodes a novel LIM motif protein,in immortalized human fibroblasts" Molecular and Cellular Biology. 17 (3). 1224-1235 (1997)
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[Publications] E.S.Masuda et al.: "NFATx1 regulation by a calcium-dependent gate" Molecular and Cellular Biology. 17 (4) (in press). (1997)