1996 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫症抗原Ku70KDaタンパク質の機能構造と細胞核における役割
Project/Area Number |
07680782
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
矢倉 達夫 関西学院大学, 理学部, 教授 (90142108)
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Keywords | 自己免疫症 / 細胞核 / Ku |
Research Abstract |
アフリカツメガエル卵抽出液より抗体カラムで精製したKu70kDa・80kDaタンパク質から得た部分アミノ酸配列情報を基にして当該遺伝子をクローニングし、詳細な解析を行った。ツメガエルKu70kDaタンパク質遺伝子はアミノ酸レベルに翻訳し、比較するとヒト及びマウス由来の同遺伝子とそれぞれ65%、66%の相同性を示し、一方80kDaタンパク質はそれぞれ60%及び58%の相同性を示した。70kDaタンパク質のドメイン構造を解析するとヒト由来のものとほぼ一致した部位に酸性ドメインや塩基性ドメインが見られた。また80kDaタンパク質に関してもロイシン繰り返し構造がみられるなど基本的な構造がヒトタンパク質と良く一致していた。しかし無脊椎動物であるショウジョバエはツメガエル70kDaタンパク質と25%程度の相同性しか示さず、全く異なる起源を持つタンパク質と結論せざるを得なかった。次に、Kuタンパク質ファミリーが存在するか否かの検討を行った。Ku・mRNAは卵巣に多量に存在するがその他の器官では極めて少ない。卵細胞は受精後急速に細胞分裂を行い、各種の組織に分化していくのでマタ-ナルに蓄えられているこれらmRNAの中に異なる分子種のmRNAが存在する可能性が高い。そこで卵母細胞より作製したcDNAライブラリーの中からファミリー遺伝子のクローンを得ることを試みた。今回発見された脊椎動物Ku遺伝子間で特に相同性の高い部分を用いてPCRを行って多数のKu遺伝子断片を得て、その配列を決定した。しかし、逆転写ミスなどによると思われる1ヌクレオチド変異は見られるものの、ファミリーと呼べるような異分子種の配列は未だ得られていない。今後、プライマー位置を変えるなどして引き続き探索を行う傍ら、他の臓器由来のmRNAにも探索の範囲を広げたいと考えている。
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