1995 Fiscal Year Annual Research Report
リン脂質トランスロケースの同定:免疫化学的及び細胞遺伝学的アプローチ
Project/Area Number |
07680788
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
梅田 真郷 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 炎症研究部門, 研究員 (10185069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 研一 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 炎症研究部門, 研究員 (70270684)
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Keywords | リン脂質 / フリップ-フロップ / トランスロケース / 抗イディオタイプ抗体 / 膜融合 / 脂質二重層 / ホスファチジルセリン / ホスファチジルエタノールアミン |
Research Abstract |
生体膜は脂質の二分子膜構造を基本として構築されている。細胞の形質膜あるいは細胞内小器官の膜においてリン脂質が脂質二分子膜の内外で非対称に分布することが知られている。形質膜ではPSおよびホスファチジルエタノールアミン(PE)は細胞質側を向いた脂質二分子膜の内層に、またホスファチジルコリンは細胞外を向いた外側に局在するとされる。この様なリン脂質の非対称分布は神経伝達物質の放出など膜の融合を伴う反応あるいは酵素活性の制御など様々な細胞機能の制御に関わるとされているが、その意義および制御因子は明かとされていない。 我々は、放線菌の産生するアミノ酸19残基よりなる環状ペプチドが膜リン脂質のホスファチジルエタノールアミン(PE)を特異的に認識し、一対一に強固な複合体を形成することを見い出している。本年度は、同ペプチドを蛍光標識したストレプトアビジンに結合させ、生体膜上でのPEの動態と機能について解析を行った。まずCHO-K1細胞をM期に同調し、細胞分裂の各段階における本ペプチドの細胞表面への結合を検討した。その結果、M期のprophaaseよりtelophaseにおいては本ペプチドの細胞表面への有意な結合は認められなかったが、late telophase において収縮環上の細胞膜に局所的に結合することを見い出した。また分裂中の細胞に同ペプチドを共存させると細胞質分裂がlate telophase で特異的に停止することが明かとなった。これまでに得られた結果は、細胞質分裂直前の収縮環上の細胞膜でPEの膜内外の移行(フリップ-フロップ)が活発に起こり、細胞表面上に移行したPEが本ペプチドにトラップされることにより細胞質分裂の進行が阻止されることを示唆している。従来、細胞質分裂などの細胞のダイナミックな動きは細胞骨格系蛋白質の再編成を中心に解析が進められてきており、膜脂質は細胞骨格の動きに付随するものと想定されていた。我々の得た知見は、膜リン脂質が細胞分裂のダイナミズムの制御因子として重要な役割を果していることを示している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 五十嵐浩二ら: "A novel phosphatidylserine-binding peptide motif defined by an ati-idiotypic monoclonal antibody" The Journal of Biological Chemistry. 270. 29075-29078 (1995)
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[Publications] 五十嵐浩二ら: "Specific binding of a synthetic peptide derived from an antibody complementarity determining region to phosphatidylserine" Journal of Biochemistry. 117. 452-457 (1995)
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[Publications] 鴇田滋ら: "Specific cross-reaction of IgG anti-phospholipid antibody with platelet glycoprotein IIIa" Thrombosis and Haemostasis. 75. 168-174 (1996)