1995 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエ消化管の部域分化を制御するapro遺伝子の解析
Project/Area Number |
07680803
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
村上 柳太郎 山口大学, 理学部, 助教授 (40182109)
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Keywords | ショウジョウバエ / 消化管 / 後腸 / ブラキューリ / T |
Research Abstract |
これまでapro遺伝子のcDNAが部分的に単離され、その塩基配列を決定した結果、脊椎動物のBrachyury(T)遺伝子と極めて高い相同性を示すことが明らかとなった。T遺伝子は脊椎動物胚で脊索の決定に関与する転写調節遺伝子であることが示されており、aproも転写調節遺伝子であると予想される。apro遺伝子のcDNAをプローブとして胚に対してin situハイブリダイゼーションを行った結果、apro遺伝子の発現は多核性胞胚期に胚の後端0-15%ELで開始し、細胞性胞胚期以降は10-15%ELの領域で発現が持続する。この領域は肛門陥を経て後腸及び肛門盤を形成する。apro突然変異をホモに持つ胚では後腸及び肛門盤が形成されず、原基の状態で組織崩壊を起こす。これらの結果からapro遺伝子はショウジョウバエ後腸の発生を支配する転写調節遺伝子であると予想される。また、apro遺伝子の発現調節に関与すると予想されるhuckebein、tailless、などの突然変異胚でapro遺伝子の発現を調べた結果、aproの発現にはtaillessが必要で、さらに胞胚後端部でのaproの発現はhuckebeinによって抑制されていることが明らかになった。同じく胞胚後端部で発現する遺伝子、hunchback、forkhead、spaltなどの突然変異胚では、apro遺伝子は正常胚と同様な発現を示すことが明らかになった。これらの遺伝子とapro遺伝子との間には直接的な相互作用はなく、パラレルに機能すると予想される。
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