1996 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外マトリックス蛋白質テネイシンファミリーの総合的解析
Project/Area Number |
07680808
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
松本 健一 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 助手 (30202328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中辻 憲夫 国立遺伝学研究所, 遺伝実験生物保存研究センター, 教授 (80237312)
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Keywords | 細胞外マトリックス / テネイシン / テネイシンX / テネイシン・ファミリー / ジーン・ターゲティング / 主要組織適合性抗原遺伝子群 |
Research Abstract |
細胞外マトリックス・テネイシンX(TN-X)の生体内での機能解明のために遺伝子ターゲティング法を用いて、TN-X欠損マウスの作成を試みた。TN-X遺伝子の翻訳開始コドンを含む5′領域をNeo耐性遺伝子に置換したターゲティング・ベクター作成後、相同組換えが起きた2個のES細胞クローンを得た。次にこれらのES細胞を8細胞期胚にインジェクションしキメラマウスの作成をおこなったが、寄与率の高いキメラマウスは得られなかった。キメラ胎仔の段階での胚性致死の可能性を考え胎仔期13日目から16日目の胎仔を調べたところ、ES細胞の寄与が高いと思われるキメラ胎仔の多くには、全身性の明らかな浮腫が生じていた。より詳細な形態についての解析を行なったところ、心臓の心外膜が肥厚し、冠状毛細血管の形成が不完全であった。心機能不全のために浮腫を生じたと考えられる。胎仔期において心外膜はTN-Xの発現の高い部位であり、異常の場所と一致する。心臓冠状毛細血管は心外細胞が心筋層内にもぐりこみ分化したもので、TN-Xはこの過程に関与するものと推測される。心臓以外の異常としては肝実質の壊死が観察された。これはキメラ胎仔において肝臓毛細血管が十分に形成されず、そのためその血管が支配している肝実質の領域に十分な栄養が与えられなかったために引き起こされたと推測される。肝臓における毛細血管の形成におけるTN-Xの関与も示唆される。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Sakai: "Tenascin-X expression in tumor cells and fibroblasts : glucocorticoids as negative regulators in fibloblasts." J.Cell Sci.109. 2069-2077 (1996)
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[Publications] K.Hasegawa: "Differential expression of tenascin-C and tenascin-X in human astrocytomas." Acta Neuropathol.(印刷中).