1995 Fiscal Year Annual Research Report
カイコのEcomplexの変異体を用いた原肢の発生異常機構の解析
Project/Area Number |
07680809
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
上野 孝治 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (10143504)
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Keywords | ホメオティク遺伝子 / 形態形成 |
Research Abstract |
研究代表者は、カイコの幼虫の腹部の付属肢(以下、腹肢と略す)の発生に焦点をあてて、その形態形成の分子機構を明らかにすることを目的として研究を行なっている。この器官の発生に最も深く関与する遺伝子はEcomplexと呼ばれる遺伝子群であり、Ecomplexの変異体の遺伝子の構造解析から、この遺伝子群は3種類のホメオボックス遺伝子(カイコのUltrabithorax,abdominal-AとAbdominal-B遺伝子、以下Ubx,abd-A,Abd-B遺伝子と略す)の集まったものであることを明らかにした。 本年度の計画は、腹肢の発生が異常になった突然変異体を用いてE complexを構成する3種類のホメオボックス遺伝子のm-RNAの発現に異常がみられるか否かを調べることを主に行なうことであったが、E^N(New additional crescents)とE^<Ca>(Additional crescents)の2種類の突然変異体を用いて解析を行い結果を得た。E^N変異はUbxとabd-Aの2つの遺伝子が欠損しているため、腹肢が全く発生してこないで全て胸肢に変換してしまうという形質を示す。そこで胸肢の発生を制御すると考えているAntennapedia遺伝子の発現を解析した結果、この遺伝子が異常に多い発現をしていることが明らかになった。またE^<Ca>変異はabd-A遺伝子が欠損して腹肢が全く発生してこないという形質を示すが、Ubx遺伝子の発現を調べた結果、正常体と大きな変化はないことが明らかになった。
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