1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07680902
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
玄番 央恵 関西医科大学, 医学部, 教授 (00108987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久寶 真一 関西医科大学, 医学部, 講師 (60195394)
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Keywords | 認知学習 / 浅層性視床大脳皮質投射 / 聴覚始動性発声 / 大脳皮質フィールド電位 / 前頭前野 / サル / 小脳切除 |
Research Abstract |
サルに聴覚刺激を与え、刺激に応じて迅速、的確に発声するようになるまでの学習過程中、左右大脳半球の多くの皮質部位に埋め込んだ慢性電極(大脳皮質表面と表面から2.0-3.0mm深部に設置)を用いてフィールド電位の記録を試みた。しかし聴覚始動性発声はこれまでに行った外部刺激始動性の手の運動に比べ、非常に長期間を要する困難な課題であることが分かったので、1匹を除き、他のサルには聴覚始動性発声を訓練した後に電位記録を行った。検討の結果、刺激と発声の連合(認知学習)には手の運動の場合同様、左大脳半球弓状溝下行枝吻側壁から大脳皮質表面-陰性、深部-陽性の電位の記録されることが判明した。一方右大脳半球の同じ部位においては手の運動の場合と同様、認知学習に関連する電位活動は見られなかった。さらに聴覚始動性発声における刺激から発声開始までの反応時間は、サルを長期間非常に熱心に訓練しても平均約0.9秒であり、これは手の運動の場合のほぼ3倍の長さに当たり、手の運動のI-IV期の学習過程のほぼIII期に相当するように考えられた。運動野で記録される表面-陰性、深部-陽性の運動前電位の出現から運動までの時間についても同様のことが示唆され、発声の場合は上肢運動の場合の3倍以上も長いことが分かった。これは聴覚始動性の発声と手の運動の中枢性神経機序における相違を示唆する。 左大脳半球前頭前野の認知学習に関連する電位活動は大脳皮質の表面で陰性、深部で陽性の電位なので浅層性視床大脳皮質投射による反応と考えられる。この電位活動への小脳切除および大脳基底核(被殻或いは淡蒼球)の局所冷却の影響について検討したが、明確な影響はみられなかった。
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Research Products
(16 results)
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[Publications] Kyuhou S: "Cerebello-cerebral projections to the ventral part of the frontal cortex of the macaque monkey." Neurosci Lett. 230. 101-104 (1997)
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[Publications] Gemba H: "Motivation-dependent activity in the dorsolateral part of the prefrontal cortex in the monkey." Neurosci Lett. 230. 133-136 (1997)
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[Publications] Gemba H: "Cortical field potentials preceding vocaliztion in monkeys." Acta Otolarygol Suppl. 523. 96-98 (1997)
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[Publications] Matsuzaki R: "Pontine neurons which relay projections from the superior colliculus to the posterior vermis of the cerebellum in the cat:distribution and visual properties" Neurosci Lett. in press (1997)
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[Publications] Gemba H: "Autonomic nerve responses and emotion in humans." Neurosci Res Suppl. 21. 2412 (1997)
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[Publications] Matsushita M: "Differential roles of astrocyte and microglia in development of hepatic encephalopathy." Neurosci Res Suppl. 21. 2908 (1997)
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[Publications] 玄番央恵: "Q&A「天気により気分が変わるのはどのような生理機序か」" Clinical Neuroscience. 15. 111 (1997)
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[Publications] 玄番央恵: "「特徴抽出」困難な時代に有用なサル学." 学術の動向-JSCニュース. 2. 47-49 (1997)
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[Publications] 玄番央恵: "CNVの発生源." 臨床脳波. 39. 239-244 (1997)
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[Publications] 玄番央恵: "広くて大きい"生理学の椅子",日本生理学雑誌巻頭言." 日本生理学雑誌. 59. 83-84 (1997)
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[Publications] 玄番央恵: "生理学の動向と展望「生命への統合」." 日本生理学雑誌. 59. 345-369 (1997)
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[Publications] 玄番央恵: "唾液分泌速度と感情評価." 日本唾液腺学会誌. 38(印刷中). (1997)
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[Publications] 久寳 真一: "脳磁気科学-SQUID計測と医学応用" 原 宏、栗城真也, 5 (1997)
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[Publications] 玄番央恵: "岡崎国立共同研究機構生理学研究所年報18巻" 岡崎国立共同研究機構生理学研究所, 1 (1997)
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[Publications] 玄番央恵: "事象関連電位と神経情報科学の発展" 丹羽真一、鶴 紀子, 15 (1997)
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[Publications] Kyuhou S: "Biomagnetism Elsevier" Wood CC et al(in press), (1997)