1995 Fiscal Year Annual Research Report
マウスの始原生殖細胞の欠損をおこすter遺伝子産物の分子的解析
Project/Area Number |
07680913
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
野口 基子 静岡大学, 理学部, 助教授 (40021951)
|
Keywords | マウス胚 / ter(teratoma)遺伝子 / 始原生殖細胞 / 生殖細胞欠損遺伝子 / terコンジェニック系統 / 細胞培養 / コンデイションドメデイウム / 細胞周期 |
Research Abstract |
マウスのter(teratoma)突然変異は、ter/ter雌雄に始原生殖細胞(PGC)の移動期からPGC欠損をもたらし、且つ精巣性テラトーマを高発症させる。再構成精巣法によると、ter/ter胎仔精巣のPGC欠損は体細胞の欠陥により起こる。ter遺伝子座はGrl-1遺伝子座に連鎖し、そのDNAマーカーのSSLP多型から各胚のter遺伝子型が簡単に判定できる。そこで、PGC欠損をおこすter/ter体細胞の成分及びその機能を分子的に解明することを目的にし、本年度は次の成果を得た。1).樹立できたterコンジェニック系統3種、B6-ter,LTXBJ-ter,C3H-terのter/ter型は生殖細胞欠損のみ示し、ter遺伝子は単一では生殖細胞欠損遺伝子であることが確定した。これらの系統は、PGCの生存、増殖或いは欠損の解析に適切な材料となった。2).B6-ter系統の各胚のter遺伝子型を上記のSSLP多型から判定し、移動期のPGCを含む部域を3日間細胞培養すると、PGCは+/+および+/ter型では増殖したが、ter/ter型では増殖しなかった。この結果は、in vivoの現象を再現しており、in vitroアッセイ系ができたといえる。そこで、既知の細胞増殖因子4種を添加すると、前者には増殖促進効果があったが、後者にはなかった。さらに、DNA合成には3遺伝子型間に差はなく、ter遺伝子は、細胞周期のS期には関係していないことが判明した。3).+/+型胎仔生殖巣の細胞培養の培地に、+/ter型胎仔卵巣体細胞のコンデイションドメデイウムを加えると、対照と同じ生殖細胞の増殖活性を示したが、ter/ter型からのメデイウムは増殖を抑えた。この結果、ter/ter型生殖巣体細胞からPGCの生存か増殖に障害を与える分泌性の何らかの成分がでていることが示唆された。
|
-
[Publications] Noguchi,M.: "The ter mutation responsible for germ cell deficiency but not testicular norovarian teratocarcinogenesis in ter/ter congenic mice." Development Growth Differentiation. 38. 59-69 (1996)
-
[Publications] 野口基子: "生殖細胞の腫瘍形成「生殖細胞-基礎から最前線まで」岡田・長浜編" 共立出版(印刷中),