Research Abstract |
JVS/JVSマウスの心重量は,18日齡で既に+/JVSマウスのものに比べ大きく,3ヵ月齡のJVS/JVSで230mgと+/JVSの100mgに比べ有意に大きかった。JVS/JVS浮腫マウスでは,345mgと10ヵ月齡+/JVSマウスの116mgに比べ有意に重く,3,10ヵ月齡JVS/JVSマウスの230,290mgよりさらに重かった。JVS/JVSマウスの心筋細胞は肥大し,核も大きく,その程度は心室筋細胞が心耳筋・心房筋細胞に比べ著しかった。JVS/JVSマウスの心耳筋細胞には,脂肪滴や空胞をもつものがみられるようになり,3,10ヵ月齡、浮腫マウスにおいては,さらに,多くの空胞,ミエリン様構造物,リポフスチン顆粒,ミトコンドリアの増殖,変形した核などをもつ変性細胞が認められた。JVS/JVSマウスの心耳筋細胞がANP顆粒の数は,18日,3ヵ月齡では+JVSマウスとの間に特に差異はみられなかったが,10ヵ月齡の心肥大の著名なものにおいては有意に増加し,免疫組織学的にも強く反応した。浮腫マウスの心耳筋細胞のANP顆粒は,細胞質全体に広く分布し,その数は10ヵ月齡の心肥大の著名なものに比べ,有意に少なく,+/JVSマウス,JVS/JVSマウス18日,3ヵ月齡のものより幾分多かった。JVS/JVSマウスの心室筋細胞には,+/JVSマウスにはみられない電子密度の高いANP顆粒に類似した顆粒が核周囲に少数みら,ANPmRANの発現も高かった。浮腫マウスにおいては,これらの顆粒は比較的多数存在し,心室筋組織内ANPレベルも+/JVSに比べ有意に高かった。また,心耳筋細胞と同様,リポフスチン顆粒,ミトコンドリアの増殖,核膜の複雑な彎入(invagination,complex fold),種々の形状の核内偽封入体など変形した核を持つ変性細胞が多数みられた。心肥大を伴う心筋症にANPの活性化を示唆する知見が得られたことから,心疾患に深く関与し,正負の関係にあるANPとアンジオテンシン系について今後さらに検討する。
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