1995 Fiscal Year Annual Research Report
過剰指形成ウズラ:四肢パターン形成の遺伝子的制御機構解析のためのモデル動物の開発
Project/Area Number |
07680918
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
都築 政起 大阪府立大学, 農学部, 助手 (70212058)
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Keywords | ウズラ / モデル動物 / 四肢パターン / 過剰指 / 形態形成異常 |
Research Abstract |
本研究は、四肢の過剰指形成をはじめとする多発性奇形を示すウズラについて、その異常形質の特徴および遺伝様式を明らかにすることを目的とした。突然変異胚は全身に発育の遅延および形態異常を示し、孵卵13日を越して生存することはなかった。孵卵13日胚の体表では、全正羽域において羽芽が出現していたが、その伸長はみられず、大腿部・肩甲部等にわずかに着色部が存在するのみで、既に着色綿毛が全身を覆っている正常13日胚とは大きく異なっていた。この羽芽の状態、および眼瞼の閉鎖程度は正常胚の孵卵8.5-9日のものに相当した。頭部では、上顎・下顎の伸長が著しく抑制されていた。腹部では筋胃、肝臓、および小腸の体外への部分的突出がみられた。四肢においては、前肢で4-7本、後肢で6-8本の指・趾が形成されていた。また、後肢は体幹に密着すると共に、遠位部が頭方に屈曲していた。これらの胚の骨格は全身ほとんど軟骨の状態であり、頭部、胸部、および四肢に化骨部が存在するものの、その化骨の程度は、頭部ならびに胸部では正常胚の孵卵9-10日のものと、四肢では6-8日のものと同程度にすぎなかった。頭部では、舌骨体の欠損が大きな特徴であった。脊柱では、頸椎以降の全ての椎骨に形成不全がみられた。四肢では、前後肢ともに指・趾骨数が増加していた他、脛骨および腓骨の屈曲が大きな特徴であった。また、正常胚では3本である中足骨が4-5本存在した。遺伝分析の結果、本形質は、常染色体性の単一劣性遺伝子によって支配されており、ホモ型胚は孵卵初期から13日に至る各時期に死亡すると考えられた。本突然変異名を“遺伝性多発性奇形、hereditary multiple malformation"、遺伝子記号をhmmとすることを提唱する。本突然変異は四肢パターン形成研究分野をはじめ、形態形成研究分野で有用なモデルになり得ると推測された。
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