1995 Fiscal Year Annual Research Report
有機ケイ素化合物を用いた骨結合性を有する有機-無機複合材料の合成
Project/Area Number |
07680944
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
尾坂 明義 岡山大学, 工学部, 教授 (20033409)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 聡 岡山大学, 工学部, 助手 (20263618)
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Keywords | 有機高分子 / 複合体 / 生体活性 / シラノール基 / ゾル-ゲル法 / カルシウム / アパタイト / シリカゾル |
Research Abstract |
これまでの研究から,CaOとSiO2とを基本とするガラス等のセラミックスは,体液環境中でCaイオンを液中に放出しアパタイトに対する体液の過飽和度を高め,その表面に残った水和ケイ酸層がアパタイトの結晶化を促進することが知られている。したがって,有機高分子構造中にシラノール基とカルシウムイオンとをミクロに複合化させれば,高分子の持つしなやかさとセラミックスの持つ硬さとが併せられた,より自然骨に近い力学的性質と生体活性とを同時に有する材料が得られると,期待される。 本研究では,ビニルトリメトキシシラン(VTS-M)を重合させると同時に,それにいくつかのカルシウム塩をゾル-ゲル法を用いて添加した,有機複合高分子の合成を試みるとともに,その生体活性を擬似体液法により調べた。その結果,酢酸カルシウムを添加した高分子は,擬似体液に浸漬して1日以内にその表面にアパタイト結晶被膜を析出させることが,薄膜X-線回析およびFT-IRスペクトル法によって明らかとなり,高い生体活性を持つことがわかった。しかし,塩化カルシウムなどそれ以外の塩を添加した複合高分子は生体活性を示さなかった。これはカルシウムイオンが均一に複合体中に分散していないためであると考えた。さらに,シラノール基の含有量を増加させるために,テトラエトキシシランの加水分解で得たシリカゾルをVTS-M重合体に混合すると,直後にゲル化一固化し,しかも生体活性を示さない固体が得られた。これは,VTS-M重合体とシリカゾルのシラノール基同士が縮合して,アパタイトの核生成に必要なシラノール基が消費されてしまったためと,結論した。
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