1996 Fiscal Year Annual Research Report
有機ケイ素を用いた骨結合性を有する有機・無機複合材料の合成
Project/Area Number |
07680944
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
尾坂 明義 岡山大学, 工学部, 教授 (20033409)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 聡 岡山大学, 工学部, 助手 (20263618)
|
Keywords | 骨結合性 / アルコキシシラン / ^<29>Si-NMR / ゲル化複合体 / アパタイト形成能 |
Research Abstract |
ビニル基および-Si(OR)_3を有するビニルトリメトキシシラン(H_2C=CHSi(OCH_3)_3)をビニル基において重合させ、有機鎖(C-C)を導入し、同時にSiO_2の前駆体であるSi(OR)_4との間で高強度のC-Si-O-Si結合を形成させるため、ゾル-ゲル法によってテトラエトキシシランまたはテトラメトキシシラン(Si(OR)_4:R=CH_3,C_2H_5)とCa(CH_3COO)_2・エタノールおよび蒸留水を種々の混合比で混合し、還流下で加水分解・重合させることによってCa(II)を導入したゲル化複合体を合成した。GPCで全分子量分布を測定すると共に、^<13>C-NMRおよび^<29>Si-NMRによってC-Cの重合度や-Si(OR)_3基およびSi(OR)_4の加水分解度またはSi-O-Si結合密度について系統的に検討した。擬似体液を用いたIn vitro試験により、ゲル化複合体の生体活性を擬似体液ならびに赤外反射スペクトル・走査型電子顕微鏡および薄膜X線回析を用いて調べた結果、アパタイト層析出が観察された。しかし、上記ゲル化複合体は、カルシウム源として用いたCa(CH_3COO)_2が粒状に残存し、不均一な試料となった。この点を解決するためカルシウム源として水及びエタノールの両方に易溶性のCa(NO_3)_2を用いることによって均一かつ透明なゲル化複合体を合成することに成功した。このゲル化複合体は擬似体液中で7日間以内にアパタイトを形成した。また、テトラエトキシシランを含まないアルコキシシランゲル化体においても同様の結果を得た。蒸留水の量を変化させることによってゲル化体の柔軟性を制御できることがわかった。以上により、アルコキシシランとテトラエトキシシラン及びカルシウム源としてCa(NO_3)_2を用いることによって分子レベルで生体活性発現の起源となるSi-OH基及びCa(II)の導入に成功し、アパタイト形成能の付与に成功した。今後、ゲル化複合体の機械的性質、特に高靭性を実現することを目的として、各結合密度、重合度の最適化が望まれる。
|