1995 Fiscal Year Annual Research Report
磁気刺激による脳槽内渦電流推定と神経興奮特性の研究
Project/Area Number |
07680949
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
湯ノ口 万友 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (10094187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀山 正樹 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60150059)
田中 哲郎 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (50217048)
吉田 宏 鹿児島大学, 工学部, 教授 (20037849)
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Keywords | 磁気刺激 / 渦電流分布 / 頭蓋内脳槽モデル / カエルの坐骨神経 |
Research Abstract |
当初に計画した研究目的の研究計画・方法に対しては約80%の到達度で、以下の知見が得られた。 1.人の頭蓋脳槽モデルを用いた渦電流分布の測定から、頭蓋骨の隆起や窪み、あるいは頭蓋骨に開いた孔の部分によって、渦電流密度が局所的に増加し、磁気刺激コイルの形状によって、渦電流の分布が異なり、標的にしている部分以外でも大きな渦電流が流れることが確認された。 2.頭蓋内脳槽モデル中にカエルの坐骨神経を置いた実験から、神経が曲がっている部分や、組織の構造が急激に変化するところでは神経が刺激され易いことを示した。 3.渦電流分布の2次元同時測定用のプローブを作成し、従来の渦電流分布測定に比べ容易に電流分布を測定できるようになった。また、測定精度も上がった。 補助金により購入したハードディスクはこれらの膨大な実験データを保存・処理するために十分役立っている。一方、当初の研究計画では、神経の膜電位の変化を測定するつもりであったにも関わらず、生体用増幅器の機能が不十分であったため活動電位の測定をするだけとなった。神経軸索の膜電位の測定については検討中である。 渦電流の3次元同時測定方式について検討した結果、従来の方法を拡張してプローブを作ることは物理的にできない。そのため、2次元の同時測定を実現した。3次元同時測定法は、良い考えが無く検討中である。 このように、補助金が補助条件に伴って有効に使われたため、脳槽モデルの渦電流分布およびカエルの神経を用いた神経興奮部位の検討については、当初の目的を果たせた。その反面、モデルが実際の人体に比べて単純であるので、まだ磁気刺激による神経興奮点を正確に推定できていない。渦電流を測定し、その結果とカエルの神経活動電位の記録とを比較して磁気刺激の興奮部位および興奮特性を調べる方法は、磁気刺激の研究にとっては必要不可欠であり、医学関係の学会でも、この研究に興味が持たれている。
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