1995 Fiscal Year Annual Research Report
脳磁界による人間の文字認知過程の時間的推移の推定に関する研究
Project/Area Number |
07680956
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
小谷 誠 東京電機大学, 工学部, 教授 (60057205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今田 俊明 日本電信電話株式会社, 研究グループリーダ
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Keywords | 脳磁界計測 / 仮名漢字問題 / 時間推移 / 左側頭葉 |
Research Abstract |
本年度は、研究の第一段階として、単語の処理過程の研究を行った。2字の仮名、漢字からなる単語、非単語を視覚的に呈示し、単語か否かを被験者にボタンで判断させた際の脳磁界を測定し、解析した。その結果、文字呈示後約100〜500msでは大脳の後頭部で活動が、その後、大脳左半球の頭頂部の左角回付近、左右の後下側頭葉に、さらに、約300ms近辺で大脳左半球側頭部の上側頭溝付近での活動が観察された。特に、仮名単語に対しては被験者6人全員が左半球の聴覚野付近での活動を示したが、漢字単語に対しては6人中3人だけが同位置での活動を示した。 また、仮名単語、漢字単語間での大脳での活動の大きさ(強さ)を比べるため、活動の大きさに相当する仮名、漢字単語に対して得られた磁界の大きさを用いてt検定(被験者6人)を行った。その結果、(1)90-120ms,140-150mでは、後頭部を中心とする広い領域で漢字単語に対する反応が有意に(p<0.05)大きい、(2)190-210msでは、右側頭後部を中心とする領域で漢字単語に対する反応が有意に大きい、(3)300-330msでは、左側頭部を中心とする領域で仮名単語に対する反応が有意に大きい、ことが得られた。 仮名単語を理解する過程では、音韻の処理が必要であることがわかっている。一方、漢字単語を理解する過程では音韻処理は必ずしも必要でない。これらのことから、仮名単語を理解する過程における音韻処理には、時間的に視覚受容後約300-330msの大脳左半球側頭部の上側頭溝近辺の活動が重要であることが考えられる。
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Research Products
(1 results)