1996 Fiscal Year Annual Research Report
脳磁界による人間の文字認知過程の時間的推移の推定に関する研究
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07680956
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
小谷 誠 東京電機大学, 工学部, 教授 (60057205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今田 俊明 NTT基礎研究所, 生体情報処理科学, 研究グループリーダー
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Keywords | 超電導素子 / SQUID / 脳磁図 / 脳磁計 / 高次脳機能 / 誘発脳磁界 / 生体磁気計測 |
Research Abstract |
我々は完全に非侵襲である脳磁界を用いて人間の脳の高次機能に関する研究を行っている。本研究では、特に人間が漢字や仮名などの文字を読む際の脳内処理に着目して研究を行った。最初に行った被験者に漢字とランダムドットパターンを見せ、漢字の読みを判断させる実験では、漢字呈示後100msで後頭葉内側部、150〜180msで後頭葉外側部、300msで近辺で左側頭葉の聴覚野付近の活動が観察された。ランダムドットパターンに対しては後頭葉の内側、外側部は活動を見せたが、左側頭葉の活動は見られなかった。漢字とランダムドットは平均の輝度を同じにしてある。この両者に対して、その活動が異なって見えるということは、左側頭葉の活動が内因的な活動であることを示している。次に、被験者に漢字2字が同じ読み(音読み)を持つかどうかを判断させる実験では、両側後頭部や左側頭部に活動が見られた。これに対して、2本の線が同じ方向であるかどうかを判断させる実験では、左側頭部に活動は見られなかった。このことから、左側頭葉の活動は判断の処理に関するものではなく、文字を読む処理に関するものであることが明らかになった。次に漢字単語と平仮名単語に対して、左側頭葉の活動がどのように現われるかについて実験を行った。その結果、平仮名単語に対しては被験者全員に左側頭葉の活動が認められたのに対して、漢字単語に対しては先の漢字一字あるいは二字の読みに関する処理を行わせる2つの実験よりもその活動が現われづらくなった。平仮名単語はその認知に脳内で読みが介在しなければならないのに対して、漢字単語は読みの介在が必ずしも必要ではない。このことから、左側頭葉の活動は文字の認知の中でも文字から音韻に変換する処理が行われていることが考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 内川義則,小谷 誠 他5名: "三次元脳磁界分布を用いた電流源分布推定への実験的検討" 日本応用磁気学会誌. Vol.19 No.3. 734-739 (1995)
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[Publications] 川勝真喜,小谷 誠 他2名: "漢字およびランダムドットパターンに対する脳磁界反応" 日本ME学会論文誌「医用電子と生体工学」. Vol.33 No.4. 318-326 (1995)
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[Publications] 川勝真喜,小谷 誠: "仮名単語理解作業中の脳磁図" 電気学会・論文誌C. Vol.116-C No.6. 669-675 (1996)
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[Publications] 小谷 誠 他4名: "生体磁気計測" オーム社, 187 (1995)