1995 Fiscal Year Annual Research Report
広告嗜好及び製品選好における性別アイデンティティモデルの研究
Project/Area Number |
07710104
|
Research Institution | Bunkyo Gakuin University |
Principal Investigator |
下條 英子 文京女子大学, 経営学部, 助教授 (30231137)
|
Keywords | 性別アイデンティティ / 広告(CM) / 嗜好性 / 購買行動 / 商品 / 性別イメージ / 選好 |
Research Abstract |
広告の性別メッセージに対する嗜好性と受け手のもっている性別アイデンティティの関係をみて、その際に、「好きである」という心理的選好段階と、「実際に購入する」という購買行動段階の2段階に分けて検討し、以下の結果が得られた。 (1)男性被験者では、女性性の高さと男性度の高いイメージCMへの好感度が正相関していた。 (2)女性被験者では、男性性の高さと、女性度の高いイメージCMへの好感度、女性性の高さと男性度の高いイメージCMへの好意度、女性性の高さと女性度の高いイメージCMへの好意度がそれぞれ正相関していた。 (3)男性被験者で、女性性の高さと、伝統的でない性別逆転イメージCMへの好感度が正相関していた。 (4)これらと同様の結果は、購買段階でもある程度傾向はあったが、有意ではなった。 以上から、男女とも、自分自信が高くもっている心理的性別アイデンティティと、選好するCMの性別イメージの性が一致している。そして、自分が高く持っている性別アイデンティティと異なる性別イメージのCMに対しては、非好意的であることが示唆された。 また、心理的な性別アイデンティティが両性的な人(特に女性性の高い男性)は、伝統的でない性別逆転イメージCMに対して好意的であることが示唆された。アイデンティティのもち方が柔軟である人は、選好も柔軟性がみられると思われる。 以上から、受け手のもつ性別アイデンティティが選好するCMの性別メッセージに影響を及ぼしていることから、CM選好における性別アイデンティティモデルを提示することができた。 購買段階では、時間的制約上から、質問紙上で選んだため、結果として、はっきりした結論が得られなかった。今後の課題としては、目の前に実際に商品を呈示し、選択行動を行わせる必要があると思われる。
|