• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

1995 Fiscal Year Annual Research Report

18世紀ロンドン債務者監獄の社会史的研究

Research Project

Project/Area Number 07710265
Research InstitutionTokai Gakuen University

Principal Investigator

栗田 和典  東海学園大学, 経営学部, 講師 (90249300)

Keywords民衆文化 / 犯罪 / 社会的結合
Research Abstract

本研究は18世紀イングランドの監獄の社会史を構想し、囚人の視点にたって行為や機構をとらえることを課題とした。題材は1720年代のフリート債務者監獄である。
まず債務投獄制度、囚人の社会的・職業的構成、囚人の生活を考察した。債務投獄制度は、基本的には債権者に債務者の所在を確保するだけのものであった。フリートに収容された囚人は、ジェントルマン、国内商人、手工業者・熟練職人が多数をしめた。彼らの監獄生活を規定したのは、さまざまな場面でもとめられた手数料の支払いであった。囚人からの手数料はフリート監獄当局にとって経営の基盤をなしていた。それゆえ、監獄当局にとって囚人とは顧客でもあったわけである。両者は対立をはらみながらも相互依存的な関係にあった。
つぎに1723年から28年前後にかけて囚人がフリートの監督法廷である民訴法廷にたいして監獄の管理・運営の改善をもとめて行なった運動を検討し、そこから囚人の行動の特徴と意識とを析出した。囚人は人身に危害をくわえるような暴力をふるうことなく、監獄の経営責任者たる典獄ジョン・ハギンズと対峠した。そうした自律的な行動は、監獄のなりたちを規定した過去のとりきめにそっているという固有の正統性の意識にもとづいていた。この対立のある時点で典獄に対抗するため、ジェントルマン層をリーダとする囚人団体が形成された。それは後年、監獄の統治(秩序維持)の一端をになう組織となってゆく。
フリート監獄は社会的出自のことなる人びと(男)をほぼ共通の環境におき、そこでともに生活をさせた場であった。その生活のなかで、社会層のちがう人びとを団体というかたちで結びつける可能性をもった場であったように思われる。

  • Research Products

    (3 results)

All Other

All Publications (3 results)

  • [Publications] 栗田和典: "バンブリジ事件(1729〜30年)-債務者囚人をめぐる「博愛」的施策と党派(上)" 歴史の理論と教育. 94. 1-14 (1996)

  • [Publications] 栗田和典: "バンブリジ事件(1729〜30年)-債務者囚人をめぐる「博愛」的施策と党派(下)" 歴史の理論と教育. 95(未刊行). (1996)

  • [Publications] 栗田和典: "「統治しがたい」囚人たち-1720年代のロンドン・フリート債務者監獄" 史学雑誌. (掲載決定・巻号未定).

URL: 

Published: 1997-02-26   Modified: 2016-04-21  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi