1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07710323
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
浅見 洋二 山口大学, 人文学部, 助教授 (70184158)
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Keywords | 詩 / 絵画 / 表象・再現 / 意境 / 映像 / 六朝 / 中唐 / 宋 |
Research Abstract |
本研究は、詩画一致の芸術観(詩画同質論)が形成される過程を大きく次のふたつの側面、すなわち(1)詩が絵画的表象・再現の機能をも有すると認められてゆく過程(2)絵画が詩的表出の機能をも有すると認められてゆく過程、から成るものと考え、主に(1)の過程に重点を置き、六朝より宋代に至る時代について考察をすすめ、以下に述べるような点を明らかにした。 一般に中国における詩画同質論は宋代に確立するとされるが、北宋の蘇車式の言う「詩中有画」をはじめとする宋代の詩画同質論は、基本的には詩が絵画のように事物の映像を表象・再現するとの認識のうえに成り立っている。 ところで、詩が何らかの映像を表象・再現するものであるとの認識は、六朝後期にその萌芽的発生を認めることができる。しかし、六朝期の段階にあって、この認識が、詩画同質論という形をとってあらわれることはなかった。六朝期において、詩や賦を「雕画」「雕絵」「図絵」等に擬する認識が散見されるが、それらは韻律、語彙等の文学作品の表現形式上の装飾美を指して言われたものであり、表象・再現の芸術としての絵画に類する機能を文学に見出したものではないと考えられる。 つづく初唐、盛唐の段階にあっても、基本的には六朝期の延長線上にあるが、中唐に至ると、詩における表象・再現の機能が、絵画におけるそれに類似するとの認識が示されるようになる。宋代における詩画同質論の基礎は中唐期に成立したものであると考えられる。 中唐期に成立した詩画同質論は宋代へと受け継がれてゆくのだが、宋代の文人はそれを更に独自の形へと発展させていった。その詩画同質論の発展過程には、中唐より宋代に至る「意境」概念の生成発展が深く関わっていることが予想される。
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