1995 Fiscal Year Annual Research Report
英語前置詞の認知言語学的研究-前置詞THROUGHを中心に-
Project/Area Number |
07710342
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
今里 典子 神戸市立工業高等専門学校, 一般科, 講師 (90259903)
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Keywords | 前置詞(preposition) / 空間認知(spatial cognition) / 個別性(individuation) / 継続(duration) / 均質性(homogeneity) |
Research Abstract |
Throughについて 前置詞inとthroughの意味の共通性は、throughの「トンネル」と、inの「容器」との形態的類似性(NP1+PREP+NP2の構造で、NP2の指示対象が3/2次元であること)であるという従来の説を否定し、共起する動詞句及びNP2の特性を分析した結果から、他の前置詞との関係をも統一的に説明できるような基盤を提出し、それによりthroughの意味を捉えなおした。 1.動詞句の「継続」の重要性:動詞は位置的および時間的継続(duration)、つまり動詞によって表わされている出来事が一定時間以上続いているという認識が重要な条件である。 2.NP2の個別性レベル:throughと共起するNP2の条件は、NP2の形態ではなく「個別性(individuation)が比較的低い構成素の集合によって形成された存在物」という認識が重要である。(但し、個別性とは、ある存在物を構成する構成要素一つ一つの卓立性のこと。) 3.個別性仮説:throughは個別性レベルが非常に低い名詞群をNP2に選択できる(均質性仮説)特性をINと共有し、さらにinよりも度合いが高い名詞群も選択する。個別性レベルはNP2に関して他の前置詞(in,among,between等)とのある程度相補的な使用分布を描き出せる。 4.「継続/個別性の低さ」整合:throughと共起するNP2の「個別性の低さ」と動詞句の「継続」は整合する。 今後は、従来の次元等を使った説明でなく、本論で提案した「個別性」や「継続」等の概念を利用し、3でとりあげた前置詞を中心に、位置的意味以外の拡大された用法も説明できる理論の構築を目指す。
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Research Products
(1 results)