1995 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚機構と調音機構のinterfaceとしての音韻論
Project/Area Number |
07710362
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
副島 昭夫 麗澤大学, 外国語学部, 講師 (20236144)
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Keywords | 音声学 / 音韻論 / 知覚 |
Research Abstract |
自由発話の音響的分析を行い、子音の持続時間を測定した。特に、破擦音における閉鎖による無音区間の測定及び、摩擦音における摩擦の持続時間の測定を行った。引き続き、母音間において、閉鎖部の無音区間とそれに続く摩擦部の持続時間を変化させて音節境界、モ-ラ境界がある場合との比較を行った。さらに、モ-ラ方言とシラビーム方言、日本語学習者の日本語について同様な実験を行った。 以上の予備的な実験データの解釈としては、とりあえず以下のような論点が指摘できる。調音点という概念は、対応する音響的特徴を持つ以上この2つの側面が対応することはむしろ当然である。これは、ある調音動作が音響的にそれの相関物であるフォルマント遷移を形成する以上当然のことであるからである。たとえば、歯音には他の調音点と区別される調音的な特徴を持つのみならず、それに対応する音響的特徴も存在する。(そうは言うものの、ある音響像を調音と結び付けるメカニズムが言語習得のどの段階でいかにして作用しているかは問題である。)それに対して、調音方法に関しては、聴覚的には、その調音における時間変化というファクターを認める必要があるにも関わらず(閉鎖音や接近音のようなカテゴリーは、その音色が不断に変化するという点に特徴があり、摩擦音と破擦音の対立はその摩擦部の持続時間に依存する)、調音に関する記述にはこの点はいっさい反映せず、その意味で、知覚像と調音像との間に著しい差が見られる。この点は、従来の音韻理論において軽視されていた現象であって、音韻論(及びそれと深い関わりを持つ音変化理論)が調音における現象のみを根拠にして成立していること(たとえば、服部の環境同化という概念など)をそのまま形では認め難いことを示していると考えられる。
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