1995 Fiscal Year Annual Research Report
日本人英語学習者の英語子音の音素対立の習得に関する音響的研究
Project/Area Number |
07710365
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Research Institution | Akashi National College of Technology |
Principal Investigator |
野澤 健 明石工業高等専門学校, 一般科目, 助教授 (30198593)
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Keywords | 音素対立 / 音声知覚 / 音声生成 / 音響分析 |
Research Abstract |
本研究は日本人英語学習者が日本語にない英語の子音の音素対立をいかに訓練によって修得できるかを検証することを目的とした。実験で取り扱ったのは、/b/-/v/,/z/-/dz/,/s/-/θ/で同時に帯気音を伴う無声閉鎖音の生成も取り上げた。被験者は高等専門学校の学生で、比較的英語の音声に慣れ親しんでいる学生を選んだ。知覚と生成の両面からの実験を平行して行った。知覚実験に関しては、英語母国語話者の肉声の発話による音素の聞き分けを行った。生成実験は、最初に特に指示を与えずに、原稿を音読させ、その発話を録音した。その後、原稿を音読する母国語話者の音声の後に付けて音読させ、その発話を録音した。それから1ヶ月ほど間隔を空けて今度は原稿を予め与えて練習をさせ、各音を発音する際の注意をした上で同様の方法で知覚・生成実験を行った。その結果、/b/-/v/以外は相当な高い確率で聞き分けができることがわかった。また、2回の知覚実験で著しい変化は見られなかった。生成実験に関しては、/b/-/v/の対立では、/b/の破裂の有無と/v/の摩擦を示す情報が画面上で確認できるかでこの音素対立を修得しているか判断した。/z/-/dz/,/_3/-/d_3/では破擦音の前に見られる無音状態の有無、ノイズ部分の持続時間で判断した。この音素対立に関して常に摩擦音で発音している被験者と常に破擦音で発音している被験者が見られた。また、この対立の知覚は最も容易であったにも関わらずその生成は最も困難に思われた。/s/-/θ/の音響上の判断は難しく、ノイズ部分の周波数の差異とノイズ部分のエネルギーの差異を測定したが、母国語話者の数値との明確な差は確認できず、音声を聞いてその容認度を判断した。全体的に、知覚と生成の難易度必ずしも一致せず、それは現場での音声指導のあり方と深く関わっているように思われる。どの音素対立が本来的に日本人に難しいかは今後長い時間をかけて調査する必要がある。
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