1995 Fiscal Year Annual Research Report
ワルラス一般均衡理論における分配論の位置づけと、その社会哲学的基礎の解明
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07730003
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
御崎 加代子 山形大学, 人文学部, 助教授 (90242362)
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Keywords | ワルラス / 一般均衡理論 / 分配論 / 限界革命 / ロ-ザンヌ学派 / 純粋経済学 / 新古典派 |
Research Abstract |
本研究を進める上で主要な活動となったのは、ワルラスにかかわる資料の収集であった。残念ながら、『ワルラス全集』の未公刊分のうち、今年度新たに刊行されたものはなかったが、一橋大学の図書館にたびたび赴き、ワルラスおよび同時代の近代経済学者にかかわる資料の収集と検討を行った。また、ワルラスおよび同時代の近代経済学者にかかわる研究文献を、主要設備として逐次購入し、検討した。 本研究の成果は、ワルラスの分配理論の中心を占める「価値変動の法則が、ワルラス純粋経済学設立の第一の思想的契機であることを明らかにすることにより、ワルラスは実は動態的分配理論の完成を指向していたこと、静態分析とされる一般均衡理論はその序論にすぎないことを明らかにしたことである。このような主張は、すでに森嶋通夫氏が、理論経済学の立場から行っているが本研究では、このような主張をするにあたって、ワルラス・モデルとリカードおよびケインズ・モデルとの継続性を主張した森嶋説への反論として、経済思想の観点から、ワルラス・モデルの方法、階級社会観におけるリカードおよびケインズとの断絶を示した。これらの成果の大部分は、『経済セミナー』で、1995年11月号より「ワルラスの経済思想(全6回連載)」の中で発表している。また、森嶋氏のすすめもあり、現在、英文雑誌への論文投稿を準備中である。
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[Publications] 御崎加代子: "ワルラスの生涯(上)-純粋経済学と科学的社会主義" 経済セミナー. 490. 56-59 (1995)
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[Publications] 御崎加代子: "ワルラスの生涯(下)-純粋経済学・社会経済学・応用経済学" 経済セミナー. 491. 64-68 (1995)
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[Publications] 御崎加代子: "ワルラスと企業者-一般均衡理論の理念" 経済セミナー. 492. 97-101 (1996)
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[Publications] 御崎加代子: "ワルラス分配理論の社会ヴィジョン-イギリス古典派の批判" 経済セミナー. 494. 77-81 (1996)
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[Publications] 御崎加代子: "(ワルラスの経済思想)純粋経済学の方法とアソシアシオン" 経済セミナー. 495(3月掲載予定). (1996)
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[Publications] 御崎加代子: "(ワルラスの経済思想)資本形成モデルとアソシアシオン" 経済セミナー. 496(4月掲載予定). (1996)