1995 Fiscal Year Annual Research Report
環境復元における住民・企業・自治体の共同関係の研究
Project/Area Number |
07730027
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
碇山 洋 金沢大学, 経済学部, 助教授 (50211024)
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Keywords | 環境復元 / 住民運動 |
Research Abstract |
1.(1)アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストンの住民運動団体DSNI(Dudley Street Neighborhood Initiative)は、"Don't Dump on Us!"をスローガンに地域の環境保全や貧困層の住宅確保、職業訓練などに取り組んでいる。DSNIは相対的に貧困な所得階層に属するさまざまな人種・世代から構成されており、住民の学習を組織することによって、地域への誇りを高め、問題解決への自発的な住民参加を組織することに成功している。 (2)Dudley Street地区の環境復縁などの取り組みには、フォード財団など企業をベースとした非営利団体や営利企業から多くの資金援助がなされている。また自治体が都市計画や都市政策をつくるプロセスには必ずDSNIなど住民団体の参加が求められるようになっている。 2.当初、市当局はDSNIを「反対勢力」とのみとらえていたが、(1)DSNIの積極的な政策提案と(2)住民運動による問題解決の進展、(3)住民の自発的参加がなくてはほとんど解決不可能であるという環境問題自体の性格から、徐々に政策の決定過程・実施過程への住民の参加が求められるようになってきた。 3.このPublic-Private-Community Pertnershipにおいて重要なのは、行政の政策に住民運動が協力するというのではなく、住民運動の側が主体となり、行政や企業の協力を組織してきたことである。逆に、日本では、企業や行政への協力を住民運動の主要な任務に位置づけたために住民運動が主体性を喪失し、結果として行政のおこなう政策もかえって成功しないという事例が一部に見られる。こんにちの複雑な環境問題を解決するには、住民・企業・自治体(あるいは行政)の共同・協同が不可欠であるが、この協同関係においては住民の主体的な運動が本質的な要素である。
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Research Products
(1 results)