1995 Fiscal Year Annual Research Report
多国籍企業における租税と経営計画との関連に関する実態調査
Project/Area Number |
07730079
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
山下 裕企 東京理科大学, 経営学部, 講師 (70256684)
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Keywords | 多国籍企業 / 租税 / タックスマネジメント |
Research Abstract |
本研究は,海外に子会社等を2社以上持つ一部上場企業から500社をランダムサンプリングし,仮説の発見を目的として,租税と経営計画との関連についてアンケート調査を行った.回収数は163社であった.その結果,次のようなことがわかった.なお,タックスマネジメントとは「租税を計画し統制すること」と定義する. 1.タックスマネジメントの実態と必要性について タックスマネジメントを実際に行っている程度よりも,その必要性を感じている程度の方が高いため,計画担当者は今以上にタックスマネジメントを実施できると考えていることが推測できる.またタックスマネジメントを行っている組織単位は,法人単位がもっとも多く,以下,子会社等を含む企業グループ単位,個別プロジェクト単位,事業部単位であった.ただし,医薬品業界は事業部単位でのタックスマネジメントを重視している傾向が見られた.また税額の事前把握については,ほとんどの企業が行っていることがわかった. 2.実効税率概念の利用について 実際に実効税率を何らかの経営計画において使用している企業は,回答があった企業の72.4%であった.またそれは短期計画で多く利用されており,中長期の計画ではあまり用いられていない傾向がみられた.また個別投資計画では約30%の企業が用いていた.実効税率の利用では業種あるいは規模による差は見られなかった. 3.国際租税制度と移転価格について 国際租税制度の中でもっとも興味が示されたのは,ほとんどの業種で移転価格税制であったが,医薬品業界ではタックスヘイブン対策税制であった.また移転価格の決定方法は原価規準法がもっとも多かった.
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