1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07740240
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
江島 丈雄 東北大学, 科学計測研究所, 助手 (80261478)
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Keywords | 多層膜 / 内殻吸収スペクトル / 全電子収量法 / 量子井戸 |
Research Abstract |
マグネトロンスパッタ装置を用いて、Cu/SiO2, Cu/BNの2種類の組み合わせについて、それぞれ膜厚を変化させた多層膜を作成し、分子研UV-SOR施設BL7Aにおいて、Cu/L吸収の内殻吸収測定(全電子収量法)を行った。 これらの測定の結果、Cuにおける新しい準位による構造を見出さなかった。この原因は、成膜時におけるCuの酸化の影響とBL7Aおける分解能が不足しているため、と考えられる。 次の実験では、分解能の不足を補うためUV-SORのBL8b1を用い、ビームラインのエネルギー範囲に合わせてSi/LiFの組み合わせを選んだ。前回同様膜厚をかえて多層膜を作成し、内殻吸収測定を行った。その結果、この系のSi-L吸収スペクトルは、単結晶のものとは異なった形状を示し、そのスペクトル形状には角度依存性(異方性)が見られたが、膜厚依存性は観測されなかった。従って、この新しく見出された構造は、量子井戸状態によるものではないと考えられる。 以上3つの系が多層膜を形成しているのをX線回折計を用いて確認してあるが、量子井戸状態を形成していない理由は、個々の層の膜質の均一性の欠如や層間の界面における急峻性の欠如による、と考えられる。特にSi-L吸収スペクトル形状が、多孔質Siの1種と形状が類似しており、膜質の均一性に対する問題を提起している。その解決策としては、エピタキシャル成長することが知られているSi/CaF2多層膜を用いることで、膜質の結晶性を良くすることが可能であると思われる。
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[Publications] M. Yanagihara, N. Miyata, H. Furudate, T. Ejima and M. Watanabe: "Polarization Study on the B1S. exciton emission in h-BN and B_2O_3" J. Electr. Spectr, Rel. Phenom.to be published. (1996)
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[Publications] T. Ejima, K. Ouchi and M. Watanabe: "Si-L Absorption Spectra of LiF/Si/LiF Multilayers." UV-SOR Activity Report 1996. to be published
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[Publications] T. Ejima et al.: "Line Shapes of the XPS U4f Spetra in Some uranium cowpowuds" Phys. Rev.B. 1806-1813 (1996)