1995 Fiscal Year Annual Research Report
折り畳み鎖高分子結晶表面の融解およびラフニング転移の理論的研究
Project/Area Number |
07740242
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
山本 隆夫 群馬大学, 工学部, 助教授 (80200814)
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Keywords | 高分子結晶 / ホールド面 / 表面融解 / 融解 / ラフニング / 一次相転移 / 転送行列 / 格子フェルミオン法 |
Research Abstract |
1.ハードコア条件のみを考慮した無限に長い高分子鎖 溶媒についてのみ化学ポテンシャルを導入するというセミグランドカノニカル集団を、二次元格子フェルミオン法で記述した。バルク部分の融解は二次転移であり、ホールド面は常に融解状態で融解面厚は有限であることがわかった。高分子鎖のつながっているという非局所的な束縛条件は、バルク部分を高分子鎖の供給源と書き換えることで導出される“高分子鎖セグメントの化学ポテンシャル"という概念を用いて取り扱った。 2.ハードコア条件、セグメント間相互作用を考慮した無限に長い高分子鎖 1.で用いたモデルにセグメント間の引力相互作用をいれる。転送行列は、相互作用するフェルミオンで記述され、それを平均場近似で取り扱う。バルク部分は一次相転移で融解することがわかった。剛性の大きい極限では、ホールド面は面の高さに比例するポテンシャルを持つSolid-on-Sold型模型で書けることがわかった。このことより、ホールド面はラフになりえないことがわかる。剛性有限の場合、ホールド面は有限温度で一次転移で融解し、さらに一次転移を逐次的におこしながら融解面厚が増加するという結論が得られた。計算機シミュレーションでは、ホールド面の融解は確認できたが、相転移の次数および、逐次相転移については現在の所確認されていない。これらは今後の課題である。 3.ハードコア条件、モノマー間相互作用を考慮した多数の有限長高分子鎖 高分子鎖を示すフェルミオンから溶媒を示すフェルミオンへの変換過程を導入することで鎖長有限の効果を記述する。バルク部分は一次相転移で融解することがわかった。
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[Publications] 山本隆夫: "Statistical-Mechanical Approach to Surface Melting of a Folded Chain-Polymer Crystal" ICCG XI Abstracts. 437- (1995)
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[Publications] 山本隆夫: "高分子結晶のサイド面の融解" 日本物理学会講演概要集(1995年秋の分科会). 第2分冊. 2- (1995)
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[Publications] 山本隆夫: "有限長高分子鎖結晶の融解" 日本物理学会講演概要集(1995年秋の分科会). 第3分冊. 756- (1995)