1995 Fiscal Year Annual Research Report
価電子帯の共鳴トンネリングにおける電子波干渉の効果に関する研究
Project/Area Number |
07740257
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森藤 正人 大阪大学, 工学部, 助手 (00230144)
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Keywords | 価電子状態 / バンド間混成 / トンネリング |
Research Abstract |
本研究では、トンネリング現象においてチャンネル間の混成効果が現れる例として、価電子状態のトンネリングにつての研究を行った。ホール状態のトンネリング現象では、エレクトロード(GaAs)の価電子帯端に、重いバンドと軽いンドの二つのホールの状態があり、その両方が入射状態・透過状態になり得る。すなわち入射状態・透過状態ともに数のチャネルが存在し、実際に観測されるトンネリング電流は、各チャネルの電流成分の重ね合わせとなる。このような多チャンネルのトンネリング現象についての研究は、ほとんど行われておらず、物理的・工学的に興味が持たれる まず、トンネリングにおけるバンド間混成効果を正しく取り入れるため、強結合近似に基づいて転送行列を求めSchulman-Di Carloらの方法を、干渉効果がある場合についても適用できるように理論的に拡張した。さらに拡張れた理論式を用いてGaAs/AlAs系,GaAs/Siへテロ接合系でのトンネリング電流密度の計算を行った。 その結果これらの系では 1.バンド間の混成効果が強く、軽いホールとして入射した状態が重いホールとして透過する(当然逆もある)といった程が無視できない。 2.軽いホールの透過状態は、重いホールの透過状態とは異なる位相因子を持つ。 ということが分かった。このことから、二つのチャネルの状態は、異なる位相を持って混じり合う、すなわち干渉をす可能性があることが理論的に示された。 またGaAs/AlAsヘテロ接合を用いて測定したトンネリング電流は定性的に、計算結果と良く一致し、チャンネル間の成効果が重要な役割を果たしていることが実験的にも示された。
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