1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07740313
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横山 寿敏 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60212304)
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Keywords | 酸化物高温超伝導 / 変分モンテカルロ法 / t-Jモデル / ペアリング対称性 / d波 / 相図 |
Research Abstract |
3サイト項をパラメータとして含む2次元t-Jモデルに対し、様々なペアリング対称性を持った射影BCS関数及び反強磁性状態や金属状態を記述する波動関数を用いて、変分モンテカルロ法によりその安定性を詳細に調べ、基底状態の相図を得た。以下に主要な研究成果をまとめる。 1.フェルミ液体や朝永ラティンジャー液体など金属状態のグッツヴィラ--ジャストロー型波動関数は、高電子密度領域(ハーフフィルド極限)では、あらゆる結合の強さ(J/t)で、それ自身が相分離に対して不安定であるが、この領域でよりエネルギーの低いd_x^2_<-y>^2波超伝導状態や反強磁性状態は、それ自身では安定である。1次元と異なり超対称(J/t=2)の場合でも、グッツヴィラ-関数(GWF)が良い領域は低電子密度に限られる。但し低電子密度極限ではGWFは格子系や次元によらずに厳密になる。 2.酸化物高温超伝導体に対応したパラメーターの領域では、d_x^2_<-y>^2波超伝導状態が格段に安定となり、S波の成分(実でも複素でも)の導入は、エネルギーを上げる方向に働く。d波では、最近接、及び次近接サイトでの電荷及びスピン相関の増大が安定化の原因である。3サイト項の導入は、その符号によらず、相図の相境界を殆ど変化させない。 3.低電子密度でJ/tの大きな領域では、s的な超伝導状態が安定になる。拡張s波での計算結果は、低電子密度極限での厳密な計算結果と非常に良く一致するが、エネルギーの低下は小さく、実際に有限電子密度でs波の超伝導が実現するかどうかは微妙である。 以上の研究成果を基にして、d-pモデルなどの多バンド系に対する変分関数の構築が、来年度以降に残された重要な研究課題である。
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Research Products
(1 results)