1995 Fiscal Year Annual Research Report
擬2次元スピン系におけるスピン・ギャップ発現の理論的研究
Project/Area Number |
07740318
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小形 正男 東京大学, 教養学部, 助教授 (60185501)
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Keywords | スピンギャップ / 擬2次元スピン系 |
Research Abstract |
本研究では,擬2次元ハイゼベルグモデル(2枚の2次元面が結合したもの)においてスピンギャップが生じるかどうか調べることが主な目的であった.そのために,グリーン関数モンテカルロ法のコンピュータプログラムを開発した.この方法では最初に適当な試行関数を仮定するので,変分モンテカルロ法と同じ計算ができる.このことを用い,まず試行関数中の変分パラメータに関して変分を行い,最も基底状態に近いような試行関数を見出した.さらにこの試行関数を出発点とし,グリーン関数を何回も演算することにより真の基底状態に収束させることを行った. 現在までのところ非常に効率のよい高速のプログラムが完成している。また試行関数としては最近接スピン間の相関を考慮したものを用いている.この関数は1枚のハイゼンベルグモデルの場合には非常によい試行関数であるが,2枚の擬2次元系の場合にはパラメータの調整が難しいということが明らかになった.このために,基底状態への収束が多少遅く,今のところスピンギャップの大きさを正確に決定するに至っていない.しかし面間の交換相互作用Jが,面内のものに比べて3〜4倍程大きくなったとろこで,スピンギャップが消滅するという結果を得た.長距離秩序に関しては,試行関数の影響を受けているために,Jの大きい領域まで残っているように見える. 以上の結果は試行関数を改良する必要があることを示している.改良の方法としては,スレーブボゾンRVB平均場近似等で得られる長距離スピン相関の入った試行関数を用いるということが考えられる.この点に関しては引き続き研究を続ける予定である. またスピンギャップが開く最も興味のある状態は,RVB状態である.この状態を出発点として,強結合領域からの摂動展開を用いて,スピンギャップの性質を見るという解析的な方法も行っている.
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