1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07740324
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大野 義章 名古屋大学, 理学部, 助手 (40221832)
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Keywords | 重い電子 / メタ磁性 / アンダーソン格子 / 1 / N展開 / スレーブボソン / ラッティンジャー総和則 / フェルミ面 |
Research Abstract |
低温まで磁気秩序を示さない重い電子系のCeRu_2Si_2は、磁場HをかけることによりH_M〜7.7Teslaで磁化が急激に増大するメタ磁性的な振舞いを示す。このメタ磁性にともない、様々な物理量がH〜H_Mで急激に変化する。さらに最近、フェルミ面の急激な変化がド・ハ-ス-ファン・アルフェン効果の実験により報告され、注目を集めている。 この問題を理論的に解明するため、U=∞の格子アンダーソン模型の磁化過程を1/N展開理論により調べた。1/N展開の0次近似におけるスレーブボソンと伝導電子の1粒子グリーン関数を与える自己無撞着積分方程式を数値的に解いた。その結果、絶対零度では、臨界磁場H_Mにおいて磁化Mが折れ曲がり、微分帯磁率dM/dHに飛びが現れることを示した。ここでH_Mは、ゼーマンエネルギーがスレーブボソンの共鳴準位の束縛エネルギーE_0と一致する条件により決められる。H<H_Mでは、フェルミ面はLuttinger総和則によって決まる大きなフェルミ面であるが、H>H_Mではフェルミ面は急激に変化し、ほぼ伝導電子のみで決まる小さなフェルミ面となる。このメタ磁性の起源は、H<H_Mでは寄与しないインコヒーレントなf電子が、H>H_Mでは有限の寄与を与えることに起因する。有限温度では、微分帯磁率dM/dHはH〜H_Mでピークをとり、そのピークの高さは低温になるほど大きくなるが、T→0では発散せず一定値に近づく。零磁場帯磁率がピークをとる温度T_<max>より高温では、零磁場においてもインコヒーレントなf電子が重要な寄与をもつため、メタ磁性的な振る舞いは消失する。また、H_MとT_<max>はともに、低温のフェルミ液体状態を特徴づけるエネルギースケールE_0に比例する。以上の結果は、CeRu_2Si_2における実験結果とコンシステントである。
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[Publications] Yoshiaki Ono: "Finite Temperature Crossver in the d-p Model" Journal of The Physical Society of Japan. 64. 1595-1615 (1995)
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[Publications] Akito Kobayashi: "Charge susceptibility and charge correlation function in the d-p model" Physica. C250. 307-319 (1995)
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[Publications] Ken Deguchi: "Impurity Effects in Lattice Anderson Model" Journal of The Physical Society of Japan. 64. 3826-3839 (1995)
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[Publications] Yoshiaki Ono: "Metamagnetism and Fermi Surface in the Anderson Lattice Model" Journal of The Physical Society of Japan. 65. 19-22 (1996)