1995 Fiscal Year Annual Research Report
反射・透過行列と不変埋込み法を用いた準3次元地震波波形計算理論の研究
Project/Area Number |
07740370
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡元 太郎 東京工業大学, 理学部, 助手 (40270920)
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Keywords | 地震波論理 / 沈み込み帯 / 反射・透過行列 / 不均質構造 |
Research Abstract |
本研究では、反射・透過行列法による準3次元波動計算の論理の研究とプログラムの開発をテーマとした。 理論的研究の面での最も大きな成果は、不規則な流体・弾性体境界での波動の散乱問題を反射・透過行列によって定式化できたことである。この定式化では、弾性体側では変位を変数とし、流体側では圧力を変数とする、ハイブリッドな方法を用いており、境界条件の設定が簡単になっていることが特徴である。この反射・透過行列は、2次元、準3次元、3次元の各次元の場合について求めた。また、不変埋め込み法を用いた弾性体・弾性体境界の場合の反射・透過行列との整合性を保っているので、弾性体の多層構造に流体層を加えた構造を扱うことが可能である。 そして、これらの反射・透過行列および不変埋め込み法を用いて、(1)弾性体のみの多層構造、および(2)最上層が流体層(海水層を想定)になっている多層構造、の2つの場合について準3次元の定式化を行い、地表(および流体・弾性体境界面)での変位場を与える表式を与えることにも成功した。これにより、海溝の浅い地震による地震波形を減衰構造を含めて計算する道が開けた。 以上のような定式化に基づいて、論理地震波波形を計算するプログラム開発を行った。現在までに、最も基本的な場合である2次元P-SV問題でプログラムを開発し、様々なケースについて計算を行いつつある。これは最上層が流体層(海水層を想定)で、弾性体との境界面が不規則である構造に平面波が入射する場合の地表(および海底面)での変位場を求めるプログラムである。なお、準3次元のプログラムの開発および適用限界・パラメータ選択の指針作成などの作業までには至らず、今後の課題とした。
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