1995 Fiscal Year Annual Research Report
日本海深層における数十年スケールの水温変動のGCM実験
Project/Area Number |
07740376
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
身延 庄士郎 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70219707)
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Keywords | 非静水圧3次元数値実験 / 深層水形成 / 鉛直対流 / 日本海 |
Research Abstract |
日本海における深層水温の変動は、深層水の形成量の変動によって生じていると考えられる。そこで深層水形成の長期変動をGCMで再現する第一歩として、非静水圧3次元数値モデルを開発し、密度の圧力依存性およびコリオリ項の水平成分が、深層水形成にどのような役割を果たすのかを検討した。 モデル領域は水平32km×32km・鉛直に2000mとし、水平方向には周期境界条件を適用した。モデルのグリッド幅は水平250m・鉛直100mである。初期値には0℃で一様な水温分布と2000mで0.01PSUの塩分差のある塩分成層を与え、半径800mの円内で800W/m2の熱フラックスで、海洋表面から200m深まで一様に冷却した。コリオリパラメータには緯度45°Nにおける値を設定した。この条件下で、コリオリ項の水平成分および密度の圧力依存性の各々を組み込む場合組込まない場合の、計4通りのケースについて96時間の積分を行った。その結果、1)密度の圧力依存性を考慮する場合のみ深層水が形成される。2)密度の圧力依存性とコリオリ項の水平成分を考慮する場合には、78時間で海底に達する強い対流が生ずる。3)密度の圧力依存性を考慮してもコリオリ項の水平成分を含めない場合には、強い対流が生ずる時間が(2)に比べて約6時間早くなり、また36時間で弱い対流が生ずる、という結果が得られた。 これらの結果から日本海の深層水形成過程に関して、密度の圧力依存性が非常に重要であり、またコリオリ項の水平成分の有無は有意な差を与えると結論される。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.Minobe and K.Takeuchi: "Annual period eguatorial waves in the Pacific Ocean" Journal of Geophysical Research. 100. 18379-18392 (1995)
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[Publications] S.Minobe: "Detection of an annual westward propagating signal in the meridional wind component along 8N in the Pacific." Journal of Climate. (in press). (1996)
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[Publications] 見延 庄士郎: "北太平洋・北米における数十年スケール気候変動" 北海道大学地球物理学研究報告. 59. 1-19 (1996)