1995 Fiscal Year Annual Research Report
地球磁気圏尾部とその周辺で観測される静電波の統括的研究
Project/Area Number |
07740395
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小嶋 浩嗣 京都大学, 超高層電波研究センター, 助手 (10215254)
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Keywords | 磁気圏 / GEOTAIL衛星 / プラズマ波 / 波形観測 / 広帯域静電ノイズ / BEN / 狭帯域静電ノイズ / NEN |
Research Abstract |
GEOTAIL衛星に搭載されている波形観測受信機のデータをもとに磁気圏内外で観測される「広帯域静電ノイズ(BEN)」と「狭帯域静電ノイズ(NEN)」の解析を行った。その結果、BENは、同じような孤立波形(ESW)の状態でプラズマシート境界層、及び、マグネトシ-ズ領域で観測されることがわかった。そして、その伝搬方向はどちらの場合も外部磁場に平行方向であることが判明した。一方、NENについても、ロープ領域、及び、マグネトシース領域の両方で観測されることがわかり、しかもその波形はQuasi-sinusoidalであり、そしてその伝搬方向も外部磁場に平行方向であることがわかった。このように、BEN及びNENは、同じような波形をもった波動として、磁気圏の内部であるプラズマシート境界層、ロープ領域、及び、磁気圏の外部領域であるマグネトシース領域で観測されていることがわかる。しかし、一般に、プラズマ環境を考えたとき、磁気圏内部とマグネトシースとでは、極端に異なったものである。特に、マグネトシースは、バウショックで乱された乱気流なプラズマからなっており、外部磁場も大変不安定である。それに対し、磁気圏内部では、基本的に地球磁場の領域であることから、マグネトシースに比べれば、非常に安定した磁場構造の中にあるといえる。このように、まったく異なったプラズマ環境のもとで同じ性質をもつ静電波動が観測されることは非常に興味深いものであり、その発生原因を総括的に説明できる可能性をはらんでいる。また、その一方で、これらの波動は非常に速い時間変化を示すため、プラズマ粒子計測と比較するにはあまりにも、その時間分解能と現象の時間スケールがかけはなれているため、いわゆる波動・粒子相互作用を考える上での粒子観測との比較研究は困難な状態にあることもわかった。
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