1995 Fiscal Year Annual Research Report
グローバルな炭素循環モデル構築を目的とする深海堆積物中のココリス分布の研究
Project/Area Number |
07740409
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
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Keywords | E.huxleyi / Florisphaera profunda / ナノ化石 / アフリカ北西 / プエルトリコ / ハイソリッヒイベント / 湧昇地域 / 時間分解能 |
Research Abstract |
E.huxleyiは温帯の堆積物に多く見られるナノ化石で、熱帯や亜熱帯地域の遠洋性堆積物ではFlorisphaera profundaが主要種として発見されている(70〜90%)。しかしF.profundaが生息生息するためには、海水に成層構造が発達していることが必要である。従って、成層構造が季節的にしか発達しない地域や湧昇が起こっている赤道と沿岸地域では、F.profundaは生息し難い。よって、湧昇の程度とF.profundaの生息数は負の相関関係を示す。 例えば、現在アフリカ北西海域の海底表層の堆積物中のナノ化石のうち、25〜40%がF.profundaだが、湧昇が激しかったと考えられる最終氷期末の氷河後退期にはその割合は低く約3〜15%である。一方、最終氷期から現在までのE.huxleyiの割合はおよそ一定である。これはE.huxleyiの生息に湧昇の与える影響が少ないか、またはE.huxleyiが湧昇を好む種であるためと思われる。長期的に見ればE.huxleyiの割合は一定であるが、時間分解能を上げて見ると、この地域では、北大西洋のハインリッヒイベントによる短期間の寒冷化の繰り返しに応じてE.huxleyiの割合も減少を繰り返しているなど、気温による影響が見られる(特にH2とH4のイベント)。また、プエルトリコ沿岸での1995年3月〜5月の期間の2週間に1度のサンプリングによれば、日照時間の増加に伴い急激にその数が減少していることが判明している。 地球全域で見ると、E.huxleyiの割合が主要になったのは、温帯地域では73ka、湧昇地域では、10〜35kaからであり、湧昇地域のほうが温帯地域よりも短期間に繁殖することができたと考えられる。従って、湧昇地域でのE.huxleyiのアクメ帯は熱帯域や北極域よりも早い時期に形成されたものと考えられる。
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