1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07740428
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
河野 元治 鹿児島大学, 農学部, 助手 (80224814)
|
Keywords | 地殻表層 / 粘土鉱物 / 水熱反応 / アロフェン / ベ-マイト / スメクタイト / カオリナイト / ハロイサイト |
Research Abstract |
地殻表層での粘土鉱物の生成機構を解明することを目的として、低温水熱反応による黒曜石の溶解と粘土鉱物の生成過程につい検討した.水熱反応は50〜100メッシュに粉砕した黒曜石を出発物質として用い、純水または0.01N塩酸溶液中で200℃および150℃の温度で1〜60日間の水熱反応を行った.これらの反応による黒曜石の溶解過程では,Naの選択溶脱と溶液中のプロトンの消費が進行し,溶液中のNa^+/H^+が次第に増加する.純水を用いたこれらの反応では,反応初期段階にアロフェンとベ-マイトが生成し,溶液中のNa^+/H^+の増加に伴い,ベ-マイトから繊維状スメクタイトの転移が認められた.一方塩酸溶液を用いた反応では,200℃および150℃の反応初期段階にアロフェンおよびベ-マイトが生成するものの,200℃では反応の進行とともにこれら生成物は溶解し,次第に球状カオリナイトの結晶成長が進行した.150℃ではベ-マイトの溶解とアロフェン粒子凝集体中での球状ハロイサイトの生成が進行した.SiO_2-AI_2O_3-Na2_2O-H_2O系相安定度図に示された溶液の組成変化によると,スメクタイトおよびカオリナイトは安定相として存在し,アロフェンおよびベ-マイトは準安定相として生成していることを示した.反応の進行に伴う黒曜石表面の組成変化についてX線光電子分光分析により検討したところ,純水および塩酸溶液のどちらの反応でもNa/Si比の急激な減少が認められた.しかしAl/Si比については,純水中で増加傾向,塩酸溶液中で減少傾向を示し,pHによりAlとSiの溶脱挙動に大きな違いがあることが明らかとなった.
|