1995 Fiscal Year Annual Research Report
メリライト族鉱物に見られる構造ゆらぎの温度変化の研究
Project/Area Number |
07740430
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
萩谷 健治 姫路工業大学, 理学部, 助手 (70237907)
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Keywords | 変調構造 / 相転移 / コバルトオケルマナイト / 衛星反射 / メリライト / X線回折法 |
Research Abstract |
本研究は、メリライト族鉱物に見られる変調構造について、転移温度下での構造変調の変化と転移温度直上の正常構造の解析を行い、変位型変調構造の生じる原因を明らかにする事を目的とした。 本研究の目的達成のためには、相転移前後のX線回折強度を精密に測定することが重要である。このため、試料温度を精密に制御できる電気炉を新たに作成した。現有する四軸型回折計(CAD-4:ENRAF NONIUS)の幾何学的制約のため、この電気炉はガスフロー型とした。この材料費は消耗品費からまかなった。電気炉の温度制御は設備備品費で購入した温度コントローラにより行い、約200℃で±0.5℃の温度安定性を実現した。メリライト族鉱物の一つであるコバルトオケルマナイトについて以下の実験を行った。試料はFZ法により合成されたものを用いた。まずイメージングプレートを用いた写真法により衛星反射の出現を確認した。次に今回作成した電気炉を用いて加熱実験を行った。試料近傍の熱電対で温度を制御し、室温から270℃の範囲で格子定数(正方晶系のaとc)及び衛星反射の回折強度を測定した。また、室温及び転移点近傍の数点の設定温度で主反射の強度を測定し、インコメンシュレート相の平均構造またはノーマル相の構造を解析した。 温度の増加に伴い衛星反射の回折強度は減少し220℃で急激に零に近づく事から、転移点は220℃と判った。また210℃から230℃までの範囲でc軸の長さは減少し、a軸の増加率は大きくなっていることが判った。この温度範囲では、格子の体積はほぼ一定になっている事も判った。室温,200℃,220℃,225℃,230℃,235℃の各温度で構造解析を行い、温度の増加に伴い温度因子が小さくなるという異常な振る舞いを見いだした。この結果と格子定数の変化は共に変調振幅の減少と関連があると思われ、変位型変調構造の生じる原因を検討中である。
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