1995 Fiscal Year Annual Research Report
新規な交差共役型オリゴマーの合成と機能・物性の研究
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07740500
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藏田 浩之 大阪大学, 理学部, 助手 (40263199)
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Keywords | オリゴマー / 交差共役系 / フルベン / ブタトリエン / チオフェン / 両性酸化還元系 / 拡張π電子系 / リチオ化反応 |
Research Abstract |
報告者は申請書において三つの研究計画を述べているが,今年度は,1.ヘプタフルベンオリゴマーの合成および2.ブタトリエンオリゴマーの合成に関してある程度の成果をあげることができたのでこの2点について報告する. 1.ヘプタフルベンオリゴマーの構成単位である8,8-ジチエニルヘプタフルベンを,ジチエニルケトンと8-オキソヘプタフルベンとの反応により簡便に合成できることを見いだした.また,8,8-ジチエニルヘプタフルベンはフェニルリチウムによりヘプタフルベン骨格を壊すことなくチオフェン環の5位をリチオ化,官能化できることを明らかにした.この2つの知見を組み合わせることにより,チオフェン拡張ヘプタフルベンオリゴマーの系統的な合成を行うことができ,四量体まで得ることに成功した.得られたオリゴマーは単量体を除いて比較的不安定であったが,その酸化還元挙動は既に報告者が合成したペンタフルベンオリゴマーと良い対照を示し,環の大きさの変化と物性の変化が密接に関連した交差共役系分子の特性がよく活かされた結果を得た. ブタトリエン骨格を有するチオフェン拡張オリゴマー類においては,末端にt-ブチルフェニル基ならびに2-チエニル基を有する化合物について研究を進め,ブタトリエン骨格が交差共役型に集積したオリゴマーを三量体まで合成することができた.これらオリゴマー類はクムレン結合を多く持つ分子でありながら比較的安定であり,可視部に強い吸収を有するのが特徴的である.特に三量体においては可視部ほぼ全域にわたって吸光係数が1万を越えている.酸化還元電位の測定を行ったところ,いずれも酸化電位および還元電位を有し,いわゆる両性酸化還元系であることが明らかとなった.両性度の尺度となる第一酸化電位と第一還元電位の差は二量体,三量体となるに従い小さくなり,オリゴマー化による両性度の向上が見られた.
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