1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07740516
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
上野 圭司 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20203458)
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Keywords | シリレン錯体 / ビス(シリレン)錯体 / シリル(シリレン)錯体 / 陽イオン性シリレン錯体 / 動的挙動 / アルキルスクランブリング |
Research Abstract |
1.メトキシル基およびジエチルアミノ基が架橋したビス(シリレン)タングステン,モリブデン,およびクロム錯体Cp(OC)_2M{(SiMe_2)_2…X}(M=W,Mo,Cr;X=OMe,NEt_2)の合成に成功した。また合成したすべての錯体についてX線結晶構造解析を行い,その構造を明らかにした。これらの錯体はすべてシリレン配位子の回転に帰属される動的挙動を示すことが温度可変NMR測定によって明らかになった。得られたスペクトルを全線型解析して活性化パラメーターを決定し,その結果この動的挙動はシリル(シリレン)錯体Cp(OC)_2M(=SiMe_2)SiMe_2Xを中間体として起こることが分かった。 2.ジメチルシリレン配位子とジエチルシリレン配位子を持つメトキシ架橋ビス(シリレン)タングステン錯体Cp(OC)_2W{(SiMe_2)…(OMe)…(SiEt_2)}を合成し,この溶液を加熱したところ,2つのシリレン配位子間で置換基のスクランブリングが起こり,エチルメチルシリレン配位子を2つ持つメトキシ架橋ビス(シリレン)錯体Cp(OC)_2W{(SiMeEt)_2…OMe}が生成することが明らかになった。ビス(シリレン)錯体でアルキルスクランブリングが起こったのはこれが初めての例である。この反応はシリル(シリレン)錯体を中間体として進行すると考えている。 3.陽イオン性シリレン錯体[CpFe(CO)=SiMe{o-(Me_2NCH_2)C_6H_4}]^+の溶液の温度可変NMR測定の結果,シリレン配位子に配位しているアミノ基は加熱しても外れないことが明らかになった。一方この溶液にHMPAなどの塩基を加えると,容易にアミノ基の解離が起こり,アミノ基の解離と再結合に帰属される動的挙動が観測された。現在この挙動の速度論的解析を進めている。
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[Publications] Keiji Ueno: "Kinetic study of interconversion between two geometrical isomers of the methoxy-bridged bis(silylene)iron complex" Bulletin of the Chemical Society of Japan. 68. 1955-1958 (1995)
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[Publications] Hideki Kobayashi: "Synthesis of the cationic silyleneiron complex[CpFe(CO)_2=SiMe{2-(Me_2NCH_2)C_6H_4}]PF_6 by hydride abstraction from a(hydrosilyl)iron complex with Ph_3CPF_6" Organometallics. 14. 5490-5492 (1995)